ep18 情報の精査

さて、ミスティに話を聞いてすぐ、また【届かない掌】を使用してゲンデイールに悪夢を見せようとするも、再使用時間に引っかかってしまった。


「あぁ……クソッ!これだからアイテム系スキルは……。」


まさかこんな事で二の足を踏む羽目になるとは。

再使用可能になるまではこの公園で時間を潰すべきか……。」


「金もねぇしなぁ……。」


そう言えばミスティは指輪を処分したかったんだよな?

ならばどうして毎日墓参りなんてしている?


「……ゲンデイールを恐れている?」


思ったことを口にしただけだ。

これが正しいとは思えない。


「天族の母親との幼少期、そして突然戦場に現れ“神秘の欠片”で進化したゲンデイール……。そして現在のミスティから感じられる不信感。」


何かを見落としているのか?

その正体は?


「……ゲンデイールは【罪人】インセールとどういう関係だったんだ?」


インセールは【もしも私が】を使用することで魔族の力を得ていた。

そして【銀纏星将】と【白銀茨のエンゲージリング】。


「そういえば……。」


取り出した指輪を調べる。


【白銀茨のエンゲージリング】

罪人インセールがゲンデイールに渡した草の指輪。

ゲンデイールによって白銀で覆われた結果アクセサリーとして完成した。

インセールの怨念と願望が込められている。

スキル【もしも私が】を使用可能。

【もしも私が】はランク5以上の人間のみ使用可能。


「ゲンデイールは銀を操るのか?」


いや、そもそもこの指輪はどういうシチュエーションで産まれたものだ?


「インセールは下水道ダンジョンの日記から見るに、空からあの街へ落ちてきたんだ。つまりインセール自身は天族の国に居たはずだ。」


だとしたら、どうなる?

天族の国に居たはずのインセールがゲンデイールに指輪を作って、それを銀で包んだ?


「ゲンデイールは天族の国に居たんだ……!」


そうだ、そうでないとおかしいんだ。

だとしたら……。


「天族の国で母親と暮らしていたゲンデイールは何かの拍子にインセールと出会い指輪を贈った。そしてインセールはその後地上に落下した。ゲンデイールは地上に無事降りた後、戦場に介入し【銀纏星将】となった。その後、最後の争いで部下へこのペアリングを渡した。」


まとめてからそのおかしさに頭をひねる。


「……なんでだ?」


【罪人】インセールという【罪人】という意味がここにかかるのか?


「インセールは何をしたんだ?何をしたら罪人になりうる?」


わからない、やはり根本的に情報が足りていない。

何か、情報が足りていないのだ。


「やはり、もう一度か。」


【届かない掌】の再使用時間が来た。


「今度こそ、見せてもらうぞゲンデイール!」


【【届かない掌】を使用しますか?】


「おぁ、もちろん答えは“ハイ”で!」


【悪夢は巡り、かつての栄華を取り戻さん】


「さぁ、おやすみ。ゲンデイール。」


そうして悪夢は繰り返す。

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