ep17 星の生まれた日
「ゲンデイール将軍……いいえ、当時はただのゲンデイールがメンデール家に仕えることになったのはある戦いがきっかけだった。」
「戦い?」
「当時は今よりももっと”神の遺産”が大陸に溢れていて、それを求めて天族と魔族が争い続けていたそうよ。」
「……”神の遺産”を求めてってことはお互いにその力は知っていたのか?」
”神の遺産”……”神秘の欠片”によるRANKUPの力。
その力を求めて天族と魔族は争い合ったのか。
「……知らないわ。でも争いの種が”神の遺産”ってことはつまりそういうことでしょう?」
”話す必要なんてないでしょう。”
「……続きを。」
何かを隠したようだがどうでもよかろう。
「そんなある時、メンデール家の当時家長サーマル・メンデールは危機に瀕していたそうよ。……天族の将軍、ベラスティアとの戦闘でね。」
ベラスティア、新しい人物名が出たか。
「その将軍も強いのか?」
「いいえ、その男はその戦いで死んだから……そこまで有名な男でもないと思うわ。……でも、それでもサーマル・メンデールにとっては死神と呼んでもよかった存在よ。」
ミスティはさらに続けた。
「そのベラスティアがサーマル・メンデールの首を刎ねるその瞬間、現れたのがゲンデイールだった。木片の雨の中現れた彼は瞬く間に天族の軍勢を叩き潰し、サーマル・メンデールの首に添えられた刃を奪ってベラスティアの首を刎ねたそうよ。」
ミスティが墓を見る。
ゲンデイール将軍の眠る場所。
まるでそこに聞かせるように言った。
「”俺の名は大魔族!魔族将軍ゲンデイール!魔族の罪も、天族の罪も!全ては俺のものだ!”」
「……。」
「”やっと手に入れたぞ!”神の遺産”!これが俺の力!俺の光だ!”」
「……。」
「”そんなもの!当たり前だろうが!俺の名前はゲンデイール!“」
「……。」
「“【銀纏星将】ゲンデイールだ!”」
「そこで称号を得たのか……。」
ミスティは声色を変えて続けた。
「“【銀纏星将】ゲンデイールよ!我が名はサーマル・メンデール!魔族が誇りし8大侯爵の一人!我が軍門に下れ!そなたの力を存分に奮え!我が戦場を用意しよう!”」
「“我らが共に戦えば!我らの道に敗北はない!”」
「“その言葉に答えよう!我は【銀纏星将】ゲンデイール!我はお前と共に行こう!”」
「それがゲンデイールの士官の日であり、【銀纏星将】ゲンデイールが生まれた日の事よ。」
ミスティは語り終えると、墓に向かって一礼し、花を添えた。
「……あんまりこのペアリングと関係なさそうだな?」
「そりゃあそうでしょう?だってペアリングなんて最後の戦いで突然降ってわいたようなものだもの。」
「まぁ、そうだよな。」
「とにかくこれでもう用はないでしょう?さっさと大陸に行きなさいよ。」
「えっ!?なんかさっきまでと態度違くない!?」
「……しっかり調べてくださいね。応援していますから。」
“クソ猿。”
「あぁ!しっかり調べさせてもらうぜ!」
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