ep14 悪夢
“デビル・フロント”ゲンデイールの墓公園。
「さぁ!そんじゃあ始めるかぁ!」
早速、財園の言っていた通り、【届かない掌】をゲンデイールに使用して悪夢を見せ、それを共有することでゲンデイールの記憶を見る。
「……でもこれ本当に相手の悪夢に入り込めるのか?」
わからない。
が、手をこまねいているのも違うだろう。
「【届かない掌】。」
首から下げた指輪が光る。
その光はゲンデイールの墓の裏、銀のオブジェへと降り注ぐ。
「……あとは夢の共有……あの時はどうしていたっけ?」
過去を思い出そうと努力する。
「【指折り数える怨嗟の歌姫】ではメロゥ・ディの悪夢をこちらに見せられた。“スクリーム”で気絶させた相手に自分の過去を見せていた……。」
つまり順番としては、眠らせて悪夢を見せた。
「俺も眠ればいいのか?」
目を閉じて、オブジェに背中を預けるようにして眠りにつこうとする。
【【届かない掌】を使用しますか?】
「おぁ、もちろん答えは“ハイ”で!」
【悪夢は巡り、かつての栄華を取り戻さん】
「……これが悪夢か。」
妙に白い建物が多い。
ここがゲンデイールの悪夢か。
本当か?
「こんな場所があるのか?」
少なくとも、魔族の街の雰囲気とは違う。
此処はどこだ?
――バシィ!
――ドンッ!
何かを叩く音?のような音が響く。
その音は街並みの裏、路地から聞こえていた。
「……とにかく行ってみるしかないな。」
歩みを進める。
その先に待っているのはゲンデイールの“悪夢”であるはずだ。
「お母さん……。」
そこに居たのは一人の女と一人の子供だった。
子供は何も纏っておらず、薄い筋肉と骨格が浮き出たその体はあまりにもみすぼらしかった。
「さっさとどこかへ行きなさい!グズ!」
――バキィ!
彼女が蹴り飛ばしたその子供は未だ地べたを這うように動いて彼女へ縋る。
「気持ち悪い!気持ち悪い気持ち悪い!」
女はヒステリックにそう叫んでいた。
そのこめかみから伸びた角、大きく背中が開いた服から覗く翼。
「天族……?」
その特徴はまさに、【罪人】インセールにも見られた、天族の姿だった。
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