ep4 コイン&カーレンシー
――デビル・フロント。
いざタコの傍までやってきた一行は海に投げ落とされた縄梯子を登り、とうとう街へと乗り込んだのだった。
「おー!これが魔族の国“デビル・フロント”!」
「すげぇ……全員魔族だ……すげぇ……。」
「フフフ、男性陣は魔族みたいな見た目、好きよね?」
かっこいいんだからしょうがないだろう。
ムキムキの筋肉丸太って感じの足と尻尾だぞ?
「さ、ダーリンはこっち!」
ペンツァーはバンデットの腕を取り、さっさと街へと歩いていった。
それを見送る4人だったが、アルアはキャンディナに、シスターはショコレータにべったりとくっ付いている。
「まぁ……戦闘力的にはこれがいいのだけれど……。」
「ボクは和雨さんと一緒がいい!」
「……結局、道中マイゴッドとお話しできなかったんですけど?」
「俺は一人でも構わないんだが……。」
「フフフ。それじゃあ今日の所はこの組で探索しましょうか。行きましょうアルア。」
そう言って二人もまた、街の中へ歩いていく。
取り残されたのは嬉しそうなシスターとやる気のないショコレータだった。
「んじゃあ、行くか。」
「はい!」
そう言って歩き出したはいいものの、魔族の街はあまりにも物価が高かった。
「うへぇ……クレープ一個5000Cだってよ?」
「やっばぁ……でもこれっておかしくないです?」
「ん?クレープ一個と“あば与”のラーメン100杯が同じ値段なのはおかしいけどそんなに気にすることか?」
ぐるっと回りを見れば串焼き一本1500Cや、焼きそば4500Cなどの看板が見える。
「いや、ほら、普通に考えたら通貨って国によって違うはずですよね?でもこのゲーム内では共通の通貨です。」
「それはまぁ……ゲームだからだろ?」
「それでも、ですよ。それならどうしてこんなに物価が違うんです?」
「あー、そういうことか?」
“ゲームだから”お金の種類が同じなのはわかる。しかし明らかに物価が違うのはおかしい。
串焼きもそうだが食事系アイテムがこの値段で売れるなら向こうで買ってきた物を此処で売れば一瞬で大金持ちだ。
それならこの物価の差は何かゲーム的な理由がある。
「……インフレしているわけじゃないはずだな、あの街は街というよりも国に近いものだった。それも周辺国家なんてない交易的に隔離された場所だった。」
「じゃあなんで此処の物価が高いんです?」
「……硬貨か?あの街は自力で通貨を作っていなかった、当然そうなれば通貨は価値に応じた金属の硬貨になるだろう?だから拾い集めた硬貨が通貨として流通した?」
「じゃあこっちは……自力で硬貨を作っているんじゃないです?」
「そうなるな。だとすれば鉱山もあるんじゃないか?」
「硬貨を作れて、かつたくさん流通しているだろうってことはそういうことですよね。」
「まぁ、単純にここはタコの上だからな。農地が無いとかそういう理由の可能性もあるけどな?」
「あー、魚介類は安そうですよね?」
魔族の街は磯の香りがしていた。
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