ep22 Reたった一つの答えを探して

4本の腕、強力なバフによって強化されたキャンディナに相対しながらショコレータは口元に笑みを浮かべていた。


「“テレポート”!」


転移先を読み、それに対して蹴りを放つもキャンディナの方が“手”数が多い。

一方的に殴られこそしないものの、その手数の差がそのままショコレータのPOWERを削り取っていく。

……そう、キャンディナは下手なスキルを使われなければショコレータに対して圧倒的な有利を持っていると思っていたのだ。


――バァン!


「ぐっ!“テレポート”!」


衝撃に顔を歪め、再び距離を取るキャンディナはショコレータを見つめ、何が起きたのかを理解しようとするもわからない。


「……なに?」


「あぁ、驚いたか?俺もお前に負けないように準備して来たってわけだ。」


「フフフ。ちょっと予想外だっただけよ、でも思えばそう、そう簡単に勝たせてくれるならこんなにあなたを愛しく思うはずもなかったもの!“テレポート”!」


再び転移で距離を詰める。

今度は見落とさないように、両腕だけで殴りにいく。


――ガッ!ゴッ!


「そんな甘い考えで殴り勝てるとでも?」


両腕だけでは殴り勝てない。

そもそも前回のイベントでは【もしも私が】を使用した状態だったとはいえ負けているのだからそれだけで勝てるわけもない。


「でも!勝つ!……フフフ!楽しい!楽しくなってきた!」


今度こそその増えた腕の打撃を織り交ぜる。

そうすることでショコレータの打撃を無視できる。


「フフフ!もう一度見せなさい!でないとこのまま殴り殺してしまうでしょう!?」


そうして意識外の拳が。

キャンディナが感覚的に振るった拳が“何か“を叩く。


――バァン!


再び衝撃が響く。

キャンディナの体を貫くその衝撃は確実にダメージを与える。


「見えた!見えた見えた見えた!フフフ……フフフフフフフフ!」


そのまま増えた腕を利用してショコレータを掴むキャンディナ。

その顔が、瞳がショコレータに触れかねない距離まで寄せられる。


「“バレットパレット”の再定義ね!?弾丸をパレットに乗せられた絵の具のように待機させて使用するスキルを改造して“飛ばさない弾丸として周囲に停滞させるスキル”へ書き換えたのね!?」


周囲に浮かべた弾丸を避けるための密着。

これでもう畏れるものは何もない。


「だから密着すれば怖くないってかぁ!?甘いんだよ!」


そう言ってショコレータはキャンディナを強く抱きしめて離さない。


「“バレットパレット”!消し飛べ!」


「自爆で倒すなんて華がないじゃない!発動せよ!【孕め我の仔を】!」


叫んだキャンディナがその唇を無理やりショコレータへ重ねる。


――バァァァァン!


先ほどまでよりも体に近い場所に発生した弾丸が破裂して衝撃と共に視界を奪う。


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