ep21 Reこうしてあなたの前に立てた
黒の軍勢拠点。
「わざわざモブを排除しておいたんだから少しはお話ししない?」
そう声をかけたのはキャンディナ・キャンディベル。
現“ミスティカ・アナザーワールド”内に10人もいないRANK5、そしてその中でも最速でRANK5へ到達した女だった。
「白の軍には俺達3人しかRANK5が居なかったんだけど?バランス悪くねぇか?」
「しょうがないでしょう?私のクランとあなたのクラン、あとはコジロウのクラン以外にRANK5が居なかったんだから。でも、フフフ……でもこうしてあなたはここに来た。」
「俺は“最強”を掲げてるからな。これでも驚いてるんだぜ?まさかRANK5が6人も居たなんてな?お前が増やしたのか?」
「フフフ。シスターはあなたに付くのがわかっていたもの。自分のクランにもRANK5を求めるのは当然でしょう?」
「……ってことはあの二人はお前が集めてかつ、RANK5にしたんだな?」
キャンディナは懐かしむように語った。
「あの二人は財園グループに縁のある子たちよ。アルアは財園グループの義手義足開発グループに関係した子、ペンツァーはまだ学生だけど、ゆくゆくはアスリートとしてウチの広告塔になってもらう予定の子……まぁ、本人はアスリートの道を選ばないかもしれないけれどね。」
「……ってことはコジロウ達って自然発生的なRANK5か?」
「まぁ、そうね。フフフ……このイベントが終われば世界は荒れるわよ?」
「……はぁ、まぁいいけどさぁ……お前こんなに時間無駄にしていいのかよ?もう勝負がいい感じに終わって俺に援軍が来るかもだぜ?」
「フフフ。それこそまさかね。アルアもペンツァーもそう簡単に負ける子じゃないもの。むしろ私の仲間が増えるとは思わない?」
「これでも人を見る目はあるつもりでな。……まぁ、“お互い仲間が来るなんて思ってない”みたいだし、さっさと始めようか。“バレットパレット”!」
「フフフ……もっとお話ししていたかったのだけど……“インファイト”。」
ショコレータの周囲に弾丸が、キャンディナの体からはうっすらと煙が立ち昇る。
「「“テレポート”!」」
ショコレータは転移先をサイコメトリーで把握、キャンディナは転移した先で捕らえられる前にその拳を振り抜く。
――ゴゥ!
「だけじゃない!」
すでにキャンディナは2発目の拳を撃ち込んでいる。
サイコメトリーで読まれる前に拳を振るえば躱しきれないのだから。
「甘いんだよ!」
だがそれは前回と何も変わらない。
“インファイト”のバフと“テレポート”のコンボは前回のイベントで既に味わっているのだから。
――バキィ!
「……“テレポート”!……ひどいじゃない、乙女の腹を蹴るなんてあなたの子が死んじゃったらどうするの?」
わざわざ蹴られたお腹をさすりながらそんなことを口走るキャンディナ。
「孕んでないのにそんな脅しをするのは本当に心臓に悪いからやめろ!」
「フフフ……冗談はおしまい、やっぱり前と同じ“手数”じゃ勝てるわけないのよね。」
「……!」
「そう、あなたに見せたこのスキル。たっぷり味わってね?“デスタッチ”!」
その黒いキャットスーツから伸びた黒い腕、その二本の腕でわざわざ投げキッスをしてキャンディナは言い放つ。
「手数二倍でもあなたならついてこれるって信じてるわ……フフフ。もちろん降参してくれてもかまわないのだけれど。」
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