ep17 天下無走
敵大規模拠点、黒の軍勢本拠地へ向けて走りながら二人は相談していた。
「シスターを一人置いてきてよかったのかよ!?あいつ、タイマン強いタイプじゃねぇだろ!?」
「だがお前を残してもこの先で多対一を押し付けられたら負けだ!俺が“最強”だって言っても場合によっちゃあ負ける可能性が高い!それに!……いや、いい。」
「“それに”なんだよ!最後まで話せよ!」
「狂信者には狂信者をぶつけんのがベストだって話だよ!」
サイコメトリーから受け取った情報は酷いものだった。
アレと同質のものは今まで一度しか見たことがない。
「財園の心の中と同じだった!あいつは財園に対して恋愛感情どころじゃない強い思いを抱えていた!あんなのに勝てるわけがない!時間だけでも稼いでもらえれば他の奴を倒してゲームセットだ!」
「それはそれは。あの子の事を一発ヤっただけでわかってしまうなんて……すごい審美眼ね?」
「「誰だ!」」
突然並走してきた女。
長いポニーテールをたなびかせる彼女は腹も足も腕も曝け出した陸上選手のような格好をしていた。
「【天下無走】ペンツァー!ショコレータを先に行かせ、他のメンバーを足止めすることを命令されたしがないランナーさ!」
――ドン!
並走していた3人は既に60㎞/hは出ていたはず。
そんな中彼女はバンデットを蹴り飛ばして見せたのだった。
「さぁ、行くがいいショコレータ!うちのリーダーがお待ちかねだ!私は露払いとしての役割を果たそう!バンデット!どこからでもかかってくるがいい!」
その堂々とした姿に目を奪われた。
圧倒的な存在感。
「……お前、輝いてんなぁ?」
その姿はバンデットの神経を一撫でした。
「おおぅおぅおうおう!良い女じゃねぁか!えぇ!?」
「チンピラロールプレイとはなかなか尖った男だな!だが私もまた
「おいリーダー!ここは俺がやる!お前はあの女の元へ行って来い!」
「ちょうどいい!私としてもそうしてほしい所だ!」
「だったら負けんなよ!」
ショコレータは駆けだしていく。
そんな背中を二人は横目に見送ると戦闘態勢に入る。
「さぁて、それじゃヤろうか。私の体もあったまってきたことだし……楽しくヤろう!」
――カァン!カァン!カァンカァン!
ペンツァーが両足で足元の地面を踏み鳴らすとそれは甲高い金属音を響かせた。
「さっきからよぉ!ヤるヤる言ってよぉ!イントネーションが下品なんだよなぁ!」
「ハッハッハ!オトコとオンナが戦場で相まみえたらサァ!そりゃあ凌辱の結末まで駆け抜けるだけだろぅ!」
「“無刀流・黄砂”!てめぇに負けたらリーダーみたいな目に合いそうだなぁ、おい!」
大太刀を構えたバンデットに対し、ペンツァーは楽しそうに言い放つ。
「“アイアンブーツ”!さぁ、始めようか!オトコとオンナのカンケイって奴をさァ!」
そして、黒の軍勢の拠点では、因縁ある二人が対峙していた。
「フフフ。邪魔者は排除させてもらったわ……ア・ナ・タ!」
「あぁ、もう否定する時間が惜しいくらいだ!さっさとやるぞ!財園!」
「和雨って呼んでいいのに!じれったい男!」
戦場はクライマックスを迎える。
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