ep15 拠点制圧

戦場は膠着状態にある。

お互いにスキルによる地形変化を打ち消し合いながら切り結ぶバンデットとコジロウ。

ショコレータの読心能力による先読みを利用した一方的な攻勢をなんとか耐え忍ぶシェリアとベヘリ。

その間中規模拠点の強奪に向かうシスター。


「拠点を奪われたらもう無理だぞ!何とかしろシェリア!」


「まじぃ?アタシもう限界なんですけどぉ?」


「くそっ!」


“踏み潰し”による遠隔攻撃が一息つきたいタイミングで飛んでくる。

ずっと動き続ける事などできるわけないのでそのダメージを“必要経費”として受け入れる。

しかしこれも積み重なればジリジリと残POWERに響く。


「逃げてばっかじゃさぁ!ゲームオーバーだぜぇ!?“バレットパレット”!」


逃げに移った二人を見て弾丸を浮かべ始めるショコレータ。

既にジリジリとダメージを受けすぎた二人にとって、即死の弾丸が装填されたのだった。


「あぁ!マジでダリィよなぁ!ガンメタ張りやがって!」


「これは運!ウンデスネー!」


「運で俺のスキル封じてるくせによく言うよなぁ!?」


――ブォン!


大太刀が空を切る。

そこへ襲い掛かる双剣を跳ねるように跳び下がって躱すバンデット。


「ハッ!どうやらPSは俺の方が上らしいな!」


お互いほぼイーブンな状況下での斬り合いでコジロウは何度も攻撃を受けている。

それに対してバンデットはコジロウの攻撃を悉く躱している。

結果、かなり戦況はバンデットに傾いている。

そしてバンデットは元から目立ちたがりでテンションが高い男。

有利が広がれば広がるほど、動きはどんどん良くなっていく。


――ザァン!


大太刀がとうとう深くコジロウを傷つける。


「……おいおい、ミーの負けジャナイカ?……流石は現実世界で鍛えた初期RANK5勢ダナ?」


「アァ?おれはつい最近RANK5になったんだが?」


「ソンナワケナイダロ?あの二人とクランをクンデルンダ、スグニ5へと進化して現実レベリングシタンダロ?」


「現実レベリング?いや、何の話だよ?」


「現実でスキルを使えば短期間でスキルをモノにできる!そうして得た力だろうって聞いてるんだよ!?」


「おいおい、キャラ崩れてるぞ!?何のこと言ってんだよ!?マジわかんねぇって!」


「RANK5は現実でスキルを使ってパワーレベリングができるだろうが!お前のそのスキルが強いのはそうしてきたからだろうが!」


――ドゥン。


一発の弾丸がコジロウの胸を貫いていた。

胸に穴をあけてポリゴンとなって消えていく二人の後ろから、さらに弾丸を撃ち出した男が現れる。


「……現実世界でスキルが使えるの、バレちまったな。まぁ、今回のイベントでばれるだろうとは思ってたが。」


「あ、おう、マジか……あ、あぁ。俺たちの勝ちだよな?」


「あぁ、シスターも仕事を終えたようだしな。」


【中規模拠点が白の軍勢に確保されました。】


【これより黒の軍勢はPOWERが25%減少します。】


「あ、デバフってこういうのだったんだな。」


「マイゴッド!やりましたよぉ!ほめて!ほめてほめて!」


「……。」


「……。」


「……グッジョブ!」


「なぁ、現実でのスキル使用ってあいつの言ってたようなメリットあんの?」


「さぁ?正直体感できないからあっても誤差だと思うぞ?」


「だ、だよな?まぁ、そうだよな。」


「さ、切り替えていこう!あとはモブプレイヤー蹴散らしながら本丸を奪うぞ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る