ep13 砂と美術と天気雨
「“無刀流・砂塵”!」
砂嵐が巻き起こる中、その砂粒がヤスリのように形を変え、コジロウを襲う。
「ソウカンタンニヤラレルワケニハイカナイネー!」
「ハッ!派手な技はさっきの一発だけかよ!?無刀流・砂丘”!」
津波でぬれた地面を再び砂へと変える。
足元を崩して“砂塵”による物量攻撃。
これがバンデットの“勝ちパターン”。
「イッポウテキに有利をトレルナンテぇ!ヒキョウジャナイデスカァ!?“パリの通り・雨”!」
「焦ってんじゃねぇか!えぇ!?」
しかし。
「一方的に有利を取れるのは貴方だけじゃない……デース!アブナイデスネー!」
「あぁ!?」
地面が濡れている。
“砂丘”による地形変化が意味をなさないように。
そしてそれだけではなかった。
「砂煙が……消えている!?何やりやがったテメェ!」
「キョウヨウがタリナイデスネー!“草薙剣”」
コジロウはニヤニヤと笑みを浮かべながら両手に剣を構える。
そんなところへシスターの声が届く。
「“パリの通り・雨”は雨の降るモスクワ通りの様子を描いた名画です!その特徴は“雨自体が描かれていない”事!濡れた地面と傘をさす人が雨の存在を指し示している絵画です!」
「つまりあれか!見えない雨が降ってるってことか!」
「イマサラデスネー!貴方のスキルはあくまで“砂嵐を起こすスキル”であって天候を変化させるスキルじゃアリマセーン!ツマリ、ミーハムテキネー!」
そう言って“草薙剣”を構えるコジロウ。
両手に構えたその剣は青銅のような緑がかった色をしていた。
「草薙剣が双剣なわけないだろ!?教養が無いのはお前だろ!ふざけんな!」
「クサナギノツルギはヤマタノオロチから出た“オリジナル”と壇ノ浦で失われたオリジナルの代わりにイセジングウからケンジョウされた“ニホンメ”がアルンデスネー!だからスキルで呼び出される“草薙剣”が二本揃った双剣でもオカシクナイデース!」
「“無刀流・黄砂”!」
バンデットも負けじと大太刀を呼び出した。
砂でできたその大太刀でコジロウへと肉薄しながら対処法を探す。
『“黄砂”は天候操作に見せかけた“スリップダメージを与える砂の召喚”スキル。だから雨を止めることはできない。だがあいつも双剣以外は雨を降らせるスキルと津波を起こすスキルしかない。』
「ならさぁ!こっからはPSしか求められないよなぁ!?」
ならば敗北なんてない。
いくら草薙剣が強力だったとしても“当たらなければいい”。
なぜなら。
「こっちは“最強”目指してんだ!お前なんかに負けるかよぉ!」
二人は何度も切り結んでいく。
足りない力をスキルで補い、相手のスキルをスキルで潰す。
そんな戦いはクライマックスへと向かっていった。
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