ep12 中規模拠点戦

イベントステージ:ロスト・ムーン

中央・中規模拠点


「おーおー、まっすぐ走ってきた目立ちたがりが大漁だぜぇ!」


バンデットはエリア中央の中規模拠点を見ていた。


「おら、お前ら邪魔だから下がってろよ!」


大きな声でそう叫んだことで白の軍勢は中規模拠点へ立ち入る直前で止まる。


「これで敵味方の区別を付けなくていいな!“無刀流・砂塵”!」


砂嵐が巻き起こる。

中規模拠点である塔を囲むように砂煙が視界を奪う。


「うわぁぁぁぁぁあ!?」


「前が見えねぇ!」


「ペッペッ!口に砂が入った!クソ!」


「サスガRANK5デスネー!」


黒の軍勢が慌てふためく中、さらに追撃を加えていく。


「“無刀流・砂丘”!」


周囲の地面すら、砂へと変わっていく。

足元を取られるその砂にほとんどのプレイヤーは沈んでいく。


「ソウハイキマセンネー!“フガクサンジュウロッケーカナガワオキウラ!”」


そう叫んだ声と共に巨大な津波が現れる。

声の主はドレッドヘアーの男。

ショコレータと一緒に走り、キャンディナと戦った似非外国人キャラクターの男。

コジロウだった。


「あぁ!?俺の砂が!」


大きな津波によって地面が濡れ、砂がドロドロに固まってしまった。

黒の軍勢も今の内と言わんばかりに後ろへ下がる。


「オー!」


「邪魔はなしってことかよ!」


その二人の戦闘を眺めていたショコレータは一つの事実に気づく。


「……双剣がないな。」


「えっ?双剣ですか?」


「あの男の武器は双剣だったはずだ。それが無いとなると……。」


――パァン!


ショコレータとシスターの間で花火のような爆発が起きる。


「アンタ達の相手はアタシ達!この“オーバーリミット”のシェリア様がね!」


「おい、RANK5相手なんだぞ!同格・・とはいえ突出するな!」


「リーダーが戦ってるのに二の足踏む方が可笑しいんだよ!」


現れたのは二人。

毛糸の下着しか身に着けていない痴女。

そしてビジネスマンのようないでたちのスーツの男だった。


「シスター、どうしたい?」


「……えっ!?もしかして全部任せていいんですか!?」


「俺は“最強”だぜ?たとえRANK5が相手でもそれがたとえ2対1でも俺が勝つさ。」


中規模拠点はもう、モブプレイヤーの戦場ではなくなってしまった。

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