ep6 輝き奪う影の月
憧れていた。
それはバンデットの原初の欲求だった。
自己顕示欲、承認欲求。
そんなものを満たせない自分というちっぽけな存在を否定したかった。
輝いて見える画面の向こうの人がうらやましかった。
「寄こせよ!俺にその輝きの全部!」
“サイコメトリー”がバンデットの内心を見透かしていく。
その心の求める部分を。
その欲求を。
「俺はもっと輝きたい!派手に光り続けたい!だからお前らのその光を寄こせよ!」
――ブゥン!
大太刀を振るう速度が上がっていく。
心の中を見ているショコレータは理解していた。
大太刀を振るう速度が以前とは比べるべくもないほど落ちていたことも、その理由が心の問題だということも。
「そうだ、お前は憧れからストリーマーを目指した!目立ちたい!輝きたい!羽虫が光におびき寄せられるように自身もまたストリーマーの世界に飛び込んだ!」
――ブン!
音が短くなった。
それだけ剣速が上がったことを意味している。
今の一撃は確実にショコレータへ傷を刻みつけるだけの力がある。
「なんの価値もない俺にも輝くチャンスはちゃんとあるんだよ!」
――ブン!
「お前さえ倒せば力を、実力を評価されるんだ!その輝きは俺のものになる!だから!」
――ブン!
「俺に寄こせ!お前の輝き全部!」
【称号を受け入れますか?】
その音は、“サイコメトリー”を通してショコレータにも聞こえていた。
もちろん、バンデットは今の状況で理解しているだろう。
だからこそ。
「答えはもちろん“ハイ”ってやつだぁ!」
【称号を獲得しました】
ファンファーレが鳴り響く。
このRANK UPが特別であることを示しているのだ。
【RANK UP!】
【RANKが5になりました】
【おめでとう、新たな魔術師よ】
【【輝奪影月】バンデット・ケーニッヒ】
【あなたの旅路に祝福を】
【あなたの進化に祝福を】
「【輝奪影月】バンデット・ケーニッヒ!これでお前と同格だ!寄こせよ、その輝きの全部!」
これで、ショコレータの狙いはすべて達成された。
バンデットを焚きつけた甲斐があったというものだ。
だからこそ、叫ぶ。
「そうだ!こいバンデット!そして俺の軍門に下れ!」
「その軍は俺のもんだ!お前の全部奪って、俺は俺として輝いて見せる!」
大太刀を払うように振り、バンデットが叫ぶ。
「“無刀流・砂塵”!」
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