EP3 もふぅ
街の中を適当にぶらぶらと歩き回る。
見ればお菓子や焼きそばの出店が立ち並んでいる。
「下のスラムとも違うな……なによりラーメンに具が乗ってる。」
「女の子とデートなのにラーメン食べようとするのはどうなんです?マイゴッド。」
シスターは楽しそうに隣を歩いているがこれはこれで怖いものを感じる。
「いや、お前“マイゴッド”は流石にないだろう……もうちょっと地味な奴は無いのか?」
「でもやっぱりある程度派手な二人称の方がいいと思うんですよね、ほら、ライバルがライバルですし!」
「俺、別に誰かとカップリングされる気ないんだけど?」
肩をすくめながらシスターはリンゴ飴のようなものを口に突っ込む。
「今更じゃないですか?キャンディナさんはもうマイゴッドとカップリングされてますし……な・ぜ・か!たくさんイラストやら同人やらが上がってますから!」
「なんとなく、そう、なんとなくだけどさぁ……あの女って実はヤバい?」
その呟きにシスターは驚愕のあまり叫んでしまう。
「馬鹿になってないです!?喉元過ぎれば何とかって言いますけど、ストーカーの、しかも自白剤に盗聴器になんとかって感じのことをする女がヤバくないわけないでしょう!?どうせSNSの肯定的な意見は全部あの女の仕込みですよ!」
「あ、あぁ。そうだよな……やばい女だよな、財園は……。やってそうなのは認めるけどもはや陰謀論染みてないかそれ?」
「侵されています!確実に!思考が!通い妻作戦で危機意識が下がってます!」
「お、おう。とりあえずこれ食べるか?」
そう言って傍の店からパイを買って突っ込んでいく。
「もふぅ……もぐぅ……もふぅ……。」
「とにかく誰かちょうどいいプレイヤー居ねぇかなぁ……。」
出来れば俺のファン以外で。
出来れば常識人で。
「ストリーマーに常識を求めるのは高望みか?」
いや、んなわけねぇだろ。
義務教育終えてんだぞ?普通に考えて常識は備わってるもんだろ。
「クレープですよクレープ!マイゴッド行きましょう!クレープは確保しないと!」
このシスター、さっきから口に何か突っ込んでないと黙れないのか?
「現実じゃないから食べ放題ですし!」
「まぁ……適当に狩場行けば金はいくらでも稼げるしなぁ……。」
こいつの食欲を止める方法などないのではないだろうか。
「ふへぇ……なかなか満腹ですねぇ……。」
「もう落ちるか?」
「眠くなってしまいましたね……。」
「無理はするなよ、俺も適当にぶらついたら寝るから。」
「そうします……お疲れさまー。」
ポリゴンとなって少しづつ消えていく彼女を見送った後、街の外へ向かう。
「街の中にいるのはエンジョイ勢ばっかみたいだし、適当な狩場を探した方がいいっしょ。」
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