EP2 クラン

第二回ストリーマー全員参加のPVP大会!

サービス開始3カ月を記念して大規模イベントの開催が決定しました。

今回はなんと!!

クラン戦です!

入賞商品は“金塊1kg”!

現実世界ではこれを求めて何度も争いが起きた曰くつきの資産アイテムです!

特殊決戦フィールド“ロスト・ムーン”にて行われる集団戦に参加しよう!

時間経過とともに消滅していくマップ上で最後に立っているのはどのクランか!

当日の様子は全世界同時配信され、全編フルでまとめたコンプリートボックスの販売も予定しています!


「……クラン?」


ログインしてすぐにそのアナウンスを確認した結果、次のイベントへ参加するための条件を満たしていないことに気づいた。


「最低3人……シスターは声かけたら来るだろ?……あとはどうするかな……。」


キャンディナ・キャンディベルの姿が浮かぶ。

だがそれは無いと首を振る。

あれと一緒に行動なんてしてたまるか。


「うん、まぁとりあえずシスターだな。」


「そう、呼ばれた瞬間馳せ参じるのがファンのあるべき姿!」


――ドン!


頭上から降ってきた彼女はシスター服に身を包んだ少女。

ショコレータ・ショコランティエという個人を全力で推すファンガール。

シスター・ピースフル・ワールドだった。


「さてぁて!早速クランを組みましょう!クラン名も決めましょう!」


「噛んだ?」


「クラン名ですよクラン名!さっさと決めちゃいましょう!“シスターと神父”なんてどうです!?キャソックなんて着ちゃって私と並ぶのを意識しちゃったんですか?前から思ってましたけどこれって運命的ですよね!私がヒロイン!私がヒロインですよ!」


「ごまかした?やっぱり噛んだよね?俺誤魔化すような人とは組みにくいなぁ~?」


「はい!噛みました!それよりやっぱり私たち運命的じゃないですか?キャソックとトゥニカはどう見てもペアですよ!」


確かに言われてみればシスター服であるトゥニカとスカプラリオに身を包んでいるシスターとキャソックにストール姿の自分は並んだ途端そういう集団に見える。


「いや……そもそも俺【響界独神】だからキャソックなのってキリストの聖骸布とかのイメージだと思うんだけど……。」


「それでも私とペアですよ!私が信じる神なんて元からショコレータ・ショコランティエただ一柱なんですから!」


「“柱”!?もう呼び方が神じゃん!」


「【選民崇拝】ですからね……フヘヘヘヘ……でもあと一人はどうするんです?やっぱりRANK4から適当にスカウトします?RANK5が二人も居るんで誰でも捕まると思いますけど?」


「とりあえず最後の1人をどうするかだなぁ……というか生半可なメンバーだと“あっち”に勝てない。」


“あっち”が示すのは当然テレポストーカーヤンデレガールの事。


「あぁ~……まぁあの人は確実にバカみたいな戦力で来そうですよね。」


「それよりそっちは大丈夫だったのか?RANK5になってからは結構連絡とってるんだろ?」


「そっちもボチボチですねぇ。まぁ私は配信さえ見られれば満足なんで……。」


「大丈夫か?嫌なことされてないか?札束で殴られてないか?」


「私はあなたの健康さえ守られれば配信見て自給自足できるので……フヘッ。」


こうして俺達のクランはメンバー集めから始まった。

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