ep11 二度目の邂逅
2度目の夜。
前回同様に【ジョン・ドゥ】を待つ。
そして前回出現した時間を迎える。
【SUB STORY QUEST】
【指折り数える怨嗟の歌姫】
【EVENT BOSS BATTLE】
【指折り数えるレクイエム】
【ジョン・ドゥ】
【BATTLE START】
「待ってたよ。」
まずはそう声をかける。
扉に背を預け、本を読んでいた体をしゃんとして幽霊に相対する。
「勝手に恨んで、勝手に人違いをして……そんなに“歌姫”はイイ女だったかよ?」
幽霊の怒りがこちらに向いたような気がする。
いや、事実体をこちらに向けている事からそれが間違いでないことがわかる。
「歌姫の目の前で指を落とされた奴隷、それがお前なんだろう?喉を掻っ切った歌姫の恨みをお前が晴らそうってわけだ?」
調べたことを告げればヘイトは完全にこちらに向くはず。
戦闘開始はその瞬間だ。
そう思った瞬間、幽霊の取った行動は予想外の物だった。
――カラン。
口に咥えたナイフをその場に落としたのだった。
「は?……何のつもりだ?」
その言葉に答えるかのように幽霊は口を開いた。
「“指折り数える怨嗟の歌姫”……。」
その声は、予想していたものではなかった。
いや、予想できないものだった。
そしてその声が彼の攻撃だと気づくのに、とても長い時間を要したのだった。
――愛し合えると信じていた
彼の歌声は、いや、彼女の歌声は歌姫と呼ぶのにふさわしいものだった。
――体を削りあなたを愛した
――それはあなたを縛る鎖であればよかったのに
どこからともなく音楽が聞こえてくる。
――あなたは傷つくことで私を困らせた
――愛しているのにあなたが怖い
――愛しているからあなたが憎い
――こんな思いは要らなかった
――あなたが幸せで私だけが落ちればよかったのに
――だけど私は愛した
――あなたを愛した
――何度この声を呪ったでしょう
――何度喉が潰れればいいと思ったでしょう
――でも今はもう、思わない
――あなたのことがいつまでも残りますように
――あなたのために歌い続けましょう
――あなたのために残し続けましょう
――“スクリーム”
およそ1分半、曲の半分が終わった頃に、やっと気づいた。
これは攻撃なのだと。
そして自分の意識はまるで抗えない荒波の中に放りこまれたかのように。
「あ……。」
沈んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます