ep8 一度目の邂逅
夜。
寝室で眠るミストールのことを見守るように部屋の扉に背中を預けて“そのとき“を待つ。
「こいつも……手がかりじゃなさそうだしな。」
ペラ、とページをめくる音が部屋に響く。
ミストールの寝息とページをめくる音のみが響くこの部屋に、果たして今日も下手人はやってくるのか。
「ナイフの意味も解らず、何を目的としてきているのかもわからず……戦ってはじめてわかることもあるだろう、ってとこか。」
そう呟いた瞬間だった。
“それ”は何の前触れもなく、そして一切の気配も感じさせずに現れた。
赤く光る刃をその口に咥え、全身を真っ黒い墨のようなもので塗り固めたその男は部屋の中央でその怒りに染まった瞳をミストールへと向けていた。
【SUB STORY QUEST】
【指折り数える怨嗟の歌姫】
【EVENT BOSS BATTLE】
【指折り数えるレクイエム】
【ジョン・ドゥ】
【BATTLE START】
「ジョン・ドゥ?名無しってことか?それとも……。」
考えている暇はない。
今はこの男を捕縛することを最優先にしなければ。
そう思いまずは距離詰める。
「さぁ!まずはこいつだ!」
右手で殴りかかり、相手の動きを注視する。
しかしその一撃は、あまりにも無駄な一撃となってしまった。
「すりぬけた!?……そうやって侵入してたか幽霊野郎!」
右拳は確かに命中していた。
拳は男の体を正確に撃ち抜き、本来ならばひるませられるほど見事な一撃だった。
しかしその一撃は男の黒い肌に触れた途端、違和感を伝えてきた。
それが間違いかどうか、調べるためにも数発軽めの拳を加えていく。
「全部すり抜けるのか……?」
その拳のすべてが男の体をすり抜ける。
「煙とでも戦ってんのか……?」
手に伝わる感覚は全くと言っていいほど存在しない。
そしてもう一つ分かることがある。
「だが動きはてんで素人!本当にお前がボスなのかよ!?」
全く当たらない拳を振るうさまはひどく滑稽でその見た目とは裏腹に子供の相手をしているような気分だ。
「いや……“こう”いうのはどうよぉ!?」
その拳の一つをつかみ取る。
こちらに攻撃するつもりなら、その瞬間は質量を持っているはずだ。
でなければ攻撃なんてできないはずなのだから。
――パシィ!……シュゥゥゥ……
「は?……?」
今、確かに掴めた。
しかしその感触はおかしなものだった。
その感触に違和感を感じるより先にその拳は消えてしまった。
そしてそのまま男はまた、気配もなく、いつの間にか消えていた。
「そして8本目のナイフ……。」
たった一本のナイフを残して。
【SUB STORY QUEST】
【指折り数える怨嗟の歌姫】
【EVENT BOSS BATTLE】
【指折り数えるレクイエム】
【ジョン・ドゥ】
【BATTLE FAILED】
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