ep7 砂嵐吹き荒ぶ決着
「シスター・ピース・フルワールド!ショコレータさんの一ファンとして、立ち塞がらせてもらいます!」
その宣言は目立った。
集団に追われるショコレータという構図の中で、ショコレータへ加勢するプレイヤーの登場なぞ、ヒロイックな展開など誰も予想していなかった。
「……RANK3。しかも“鞭”だと?」
彼女の持っていた鞭はチュートリアルで作れた一本鞭ではなく棒のような持ち手の付いたものだった。
「やっぱり持ち手がないと使いにくいですから!」
「……いや、そういうことじゃなくてだな……。」
少女は鞭で地面を叩く。
――ピシィ!
「“シスター”を名乗る以上刃物は使えませんから!銃も同じく!だから“鞭”なんです!」
「いや、そういう意味じゃなくて……。」
――ピシィ!
「とにかく!ファンの一人として!こんなことを許せるわけないでしょう!」
――ピシィ!
――ピシィ!
――ピシィ!
――ピシィ!
「わかった!わかったから何度も叩くなマジで!」
「……威嚇は大事ですよ?」
二人のやり取りを見ていたバンデットはようやく口を開いた。
「鞭使いかよ!でもなぁ、そんな武器でこの人数を対処できるわけないだろ!」
崖上から襲い掛かる近接武器の集団。
「女漁りは崖上から味方を巻き込むことを考えずに撃ち続ければ倒せる!近接組はあの女を狙え!鞭じゃそうそう数を減らせないはずだ!」
――ピシィ!
甲高い音が響くと同時、崖下に降りたプレイヤーの1人がはじけ飛んでポリゴンになる。
「な!?」
「知らないんですか?鞭は中距離高火力武器なんですよ?弱点を攻撃するだけで大抵のプレイヤーは即死です!」
「RANK2の頃の銃とタメを張れる火力か……なかなか強いじゃないか!」
「推しに褒められる環境って最高ですね!」
――ピシィ!
「もっと褒めて!褒めて!」
――ピシィ!ピシィ!
――ガウン!ガウン!ガウン!ガウン!ガウン!ガウン!
「おいおい……ふざけんなよ……俺より目立つんじゃねぇよテメェラァァァァァ!」
崖上から飛び降りてきたバンデットを迎え撃つ。
バンデットは鞘へ大太刀を収めて落ちている。
その姿にはだんだんと白いオーラが立ち昇る。
「“ガンスリンガー=ピアッシング”……。」
一発の弾丸を込めてその銃口を向ける。
「“居合”だけじゃねぇよ!“無刀流・砂塵”!」
着地を狙っていた所にバンデットのスキルが発動する。
着地地点に砂嵐が巻き起こり視界を塞ぐ。
「オワリダァァァァァァァァ!」
叫びだけが聞こえる。
その瞬間、ショコレータの銃口が光り輝く。
――ドゥン!
撃ち出された銃弾は真っすぐに、ただ真っすぐに突き進み一人のプレイヤーをポリゴンへと変えた。
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