ep6 RANK2の脅威

エリアD。渓谷マップ。

マップを開いて現在地を確認する。


「さて……そろそろモブ以外の相手がしたいもんだが……。」


RANK2の相手ばかりが現れる。

あまりに手ごたえのない相手に飽きが来てしまっていた。


「そんなこと言うなよなぁ!?女漁りぃ!」


「……はぁ。またお前かよ?」


派手な髪形をした男。

バンデット・ケーニッヒ。

大太刀を背負うように構えたその男が崖上から見下ろしていた。


「だけじゃねぇ!」


――ザッ!ザッ!ザッ!


崖上から見下ろす影は一つではなかった。

様々な武器を携えたプレイヤー達が一様に崖下の自分を見下ろしている。


「総勢120人!圧巻だろ!?」


「派手だねぇ……。」


つい声を漏らしてしまう。


「SO!!派手なんだぜ!?」


「「「「「「ウェェェェェェェェェイ!!!」」」」」」


大合唱である。


「いやはや……流石にこれは無理じゃね?」


「お前が言ったことだぜ?“最後には強い奴、つまりRANK3が集まるんだ。お前に生き残れるかな?”ってな!……おかげで気づけたんだ。感謝もしてるくらいだぜ?」


「RANK2に優勝の可能性はないってことか?」


「ザッツライ!!!その通りだぜ!だからこそRANK2を片っ端から声かけてこれだけ集めたんだ!確かにRANK2が10人集まってもお前なら楽勝だろうよ、でもなぁ?」


バンデットが手を振り上げ、降ろす。

その瞬間、轟音が鳴り響いた。


――ドゥン!ドゥン!ドゥン!ドゥン!ドゥン!


「これだけ揃えれば話は別だぜ?」


急いで崖に近づいて片側の射線を切る。

真下に向けて撃つことはできない、だが当然。


「反対側からなら打ち放題だぜ!やれ!」


――ドゥン!ドゥン!ドゥン!ドゥン!


動き続けることで何とか躱し続ける。

マジックガンナーは反動の強すぎる銃。自分のようなテクニックのない奴はまともに狙えない武器だ。


「どこまで躱し続けられる?お前はなまじ腕がいいからなぁ……耐久配信とかした事ねぇだろ?」


「自分の腕を恨む日が来るとはなぁ!もっと下手だったら長時間配信とかしてたかもなぁ!」


とうとう、ラッキーパンチが左腕に届く。

左腕が消し飛びPOWERの自動回復が欠損によって一時的に止まる。


「まっず!」


ガウン!ガウン!ガウン!ガウン!ガウン!ガウン!


崖上の相手に何発か撃ち込むも半分ほどしか当たっていない。


「腕が無いとこうもバランスが崩れるもんかよ……!」


そんな中、高い声が響き渡った。


「“エクスチェンジ!”」


その瞬間、ショコレータの腕は復活し、POWERも満タン近くまで回復する。


「勝てないからって徒党を組むのはずるいと思います!」


少女はそう言って、ショコレータの傍までくると仁王立ちして言い放ったのだった。


「シスター・ピース・フルワールド!ショコレータさんの一ファンとして、立ち塞がらせてもらいます!」

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