ep4 ロスト・ムーン
ログインした瞬間に現れたウィンドウ。
【イベントエリア“ロスト・ムーン”へ移動しますか?】
そのウィンドウに触れた途端、視界一杯に広がるのは人の波。
それなりに広い空間に集められた人たちは皆一様に茶色いローブに身を包んでいる。
「開始までの時間があれか。」
頭上の巨大なウィンドウに表示されたタイマーは30分を指した。
「まぁ……始まるまで時間はあるし適当にぶらぶらしてみるか。」
そう言って後ろを振り返り歩き出そうとした目の前に、派手な髪色の男が現れるのだった。
「ハーッハッハッハァ!さっそく見つかるとはなんと運のいい!なんという僥倖!女漁りのショコレータショコランティエ!」
バンデット・ケーニッヒだった。
いつもの取り巻きもおらず、一人で声をかけてきたのだった。
「お前は下水道でレベリングしていただろう!?あんな低レベル用の狩場でレベリングしていてはこの力へは届いていないだろう!?」
そう言って刀を取り出すバンデット。
いや、その武器は刀と呼ぶにはあまりに長かった。
「大太刀!お前のリーチに対応するための長さだ!お前の有利な点はその圧倒的なリーチ!この大太刀ならばそんなお前に届く!覚悟しておくんだな!RANK3の俺にRANK2のお前が勝てないということを教えてやる!」
勝ち誇った様子で高笑いを決めるバンデットにガチャ、と銃口を突きつける。
「は!?お前その銃……どうやってレベル上げしたら間に合うんだよ!?」
「お前こそ知らんのか?レベリングってのは適正レベルの相手を倒すより格下をなぎ倒した方が早いんだぞ?」
「それでも下水道はレベルが低すぎるだろうが!?どうやったらそんなレベルに……。」
「数を倒した。答えは以上だ。よろしくな?」
「1週間レベリングさぼってたのに20レベ……?マジか?」
「そういうわけだからさ、よろしくな?」
そう言って手を差し出すもバンデットはその手を握ることは無かった。
「なにが“よろしく”なんだよ?」
「おいおい、今自分でも言ったことだろ?“RANK3の俺にRANK2のお前が勝てないということを教えてやる!”ってさ。」
「あぁん?」
「周りを見てみろよ、色以外武器の形が大きく変わってねぇのはRANK2、なら俺達みたいなRANK3は何人いる?」
バンデットは慌てて周囲のプレイヤーを見回していく。
「……こんなに、すくねーのかよ……?」
「だろ?そしてルールはオープンワールドサバイバルタイプなんだぜ?所謂バトロワ系ゲームってわけだ。最後には強い奴、つまりRANK3が集まるんだ。お前に生き残れるかな?」
「ハッ!たしかにこれじゃあ多人数で上位狙いってのは難しそうだがなぁ!俺の狙いはあくまで目立つこと!お前さえ倒せれば充分なんだよぉ!」
タイマーが時間を知らせる。
残り10秒になった頃からカチカチと音がだんだん大きくなっていく。
――3。
――2.
――1.
「まぁとにかくゲームスタートだ。楽しもうぜ?」
プレイヤー達は広大な大地に飛ばされた。
【第一回イベント】
【浮遊島サバイバル!奪い合う神秘!】
【GAME START】
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