ep2 下水道の報酬
ショコレータはアンブロシアに併設された酒場で酒を飲んでいた。
酒精の強い酒などなく、薄いチューハイ程度のアルコール分。
それをジュースに混ぜて飲むスタイルの酒を飲んでいた。
「カクテルでももっと濃いだろぉ~?もっと強い酒を出せ~!」
カウンターに頭を預けながらゴブレットの縁をなぞるように指でこする。
現実世界の酒では体を壊しかねないからと言ってこの世界で飲んだくれているのはどうかと思われるが。
「狩人なら狩人らしく稼いできな!他の客の迷惑だよ!」
樽のような女、酒場の女主人がそんなことを言って追い出そうとするもショコレータはヒョイっとコインを投げる。
「もう一杯……酔えねぇ酒なんて酒じゃなぁい~!」
「はぁ……金払いはいいんだから。」
女主人がビンに入ったジュースと酒を持って戻ってくると、ドン!と置いて去っていく。
「しょうがないだろこんなのぉ~!燃え尽き症候群っていうかぁ~!」
ショコレータがこんな風になってしまったのも仕方のない事ではあるのだ。多分。
NAME :ショコレータ・ショコランティエ
WEPON :マジックガンナー
RANK :2
POWER :150/150
LEVEL :13
STR:125
VIT:65
DEX:65
AGI:65
LUK:65
振り分け可能なステータスポイント:0
Aスキルスロット
【ストンプ】
【ガンスリンガー=ピアッシング】
【ガンスリンガー=シックスシェル】
Pスキルスロット
【ガンスリンガースタイル=シックスボルト】
【】
【】
EQUIP
・白銀茨のエンゲージリング
1週間前に下水道ダンジョンをクリアした結果、いくつかの報酬を得ることができた。
まずは経験値、今現在ゲーム内トップのレベルが17レベルに対してあの時点で13レベルへと到達できた。
次にスキル、三つのスキルを得ることができた。
そして最後に【白銀茨のエンゲージリング】という装備品。
「でもなぁ……。」
掌の上でその指輪をコロコロと転がす。
プラチナの指輪で、茨のような衣装が施されたそれは確かにサーバー内で自分だけが持っている装備品だ。
しかしその性能が……。
【白銀茨のエンゲージリング】
罪人インセールがゲンデイールに渡した草の指輪。
ゲンデイールによって白銀で覆われた結果アクセサリーとして完成した。
インセールの怨念と願望が込められている。
スキル【もしも私が】を使用可能。
【もしも私が】はランク5以上の人間のみ使用可能。
「なんで今使えねぇんだよぉ……。」
さらに萎えさせたのは覚えた三つのスキルだ。
【ガンスリンガー=ピアッシング】
マジックガンナー専用アクティブスキル。
強力な貫通弾を装填する。貫通弾は相手のVITを無視する効果を持つ。
【ガンスリンガー=シックスシェル】
マジックガンナー専用アクティブスキル。
強力な炸裂弾を6発装填する。炸裂弾は着弾後5秒後に炸裂しダメージを与える。
着弾した炸裂弾へ炸裂弾を命中させることで強力な爆発が発生する。
【ガンスリンガースタイル=シックスボルト】
マジックガンナー専用パッシブスキル。
加速装置を改造する。【ガンスリンガー】系統スキルが使用可能になる。
加速装置を回転させずとも、常時弾丸を加速させることでチャージショットを連射できるようになる。
「はぁ……。」
特にこのシックスボルトだ。
チャンバーを回転させることで行っていたチャージショットをいつでも撃てるようになるのは確かに強力だ。
しかしこの加速装置を改造するという一文が邪魔でしかない。
言ってしまえばこのスキルは6発ごとにリロードが必要になる代わりに常時チャージショットをチャージし続けるよ!ということなのだ。
「連射性能を更に落としたくねぇのにこんなのってねぇよ……。」
恐らくこれは前衛がそばで戦ってくれる前提のスキルなのだ。
前衛が相手をしている間にシックスシェルをリロード、5秒後にチャージショットとシックスシェルの乗った強力な射撃を6連射することを前提としたスキルなのだ。
「ソロじゃ使えねぇよこんなもん!」
そんな考えで酒浸り中、ウィンドウが勝手に立ち上がる。
「PVP……えぇ……まじかよ。」
第一回ストリーマー全員参加のPVP大会!
サービス開始1カ月を記念して大規模イベントの開催が決定しました。
入賞商品は“神秘の欠片”!
ミスティカ・アナザーワールドの世界ではこれを求めて何度も争いが起きた曰くつきの強化アイテムです!
特殊決戦フィールド“ロスト・ムーン”にて行われるサバイバルゲームに参加しよう!
時間経過とともに消滅していくマップ上で最後に立っているのは誰か!
当日の様子は全世界同時配信され、全編フルでまとめたコンプリートボックスの販売も予定しています!
「レベル上げ……しなきゃじゃん……。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます