ep14 スキルマシマシの白豚丼780円
「EXPERT LOOT……難易度の上昇とかふざけてないか?」
目の前の少女の雰囲気はもはやラスボスかと見紛うほどの覇気を感じる。
「ゲンデイールに会いたい。」
「アナウンスも無駄に長かったしな……とにかくこいつを倒せって言ってたし、やることは同じか。」
先ほど同様、肉薄して銃口をブラフにした殴打に入ろうとすると、彼女は口を開く。
「“テーザー”。」
また馬鹿の一つ覚えのように放つその閃光。
しかし今回は両手の指でそれぞれ狙いを付けているように見えた。
「チッ!」
予想通り、両方の指から撃ち込まれた“テーザー”を見て舌打ちを漏らす。
「“白き静寂なる世界へ”、“ブレッシング”、“テーザー”……“ライフリターン”も使えるならもうプレイヤーよりスキルが多いってことじゃねぇか。」
プレイヤーのスキルは3つ迄。
Pスキル込みでも6つしか使えない中、目の前の相手は4つ以上使ってくるのはどうかと思う。
「“恥”を知れ“恥”を!スキルの数位こっちに合わせろ!卑怯者!」
「……“ウェディング”、“ヴァギナ”。」
彼女の体に光の粒子が降り注ぐ。
それらはやがて粗末な下着姿の彼女に纏わりつくように新たな形を作り出す。
「……見た目気にしてんじゃねーよ!」
光が治まったそのときには、背中が大きく開いた純白のドレス、そして身の丈ほどもありそうな杖を構えた彼女の双眸が、ショコレータを確実にとらえていた。
「邪魔はさせない。ゲンデイールに会いに行く。どけ、人間。」
「……おいおいやっと会話できるかと思ったのにソッコー喧嘩腰かよ?これだから天使ってのは信用できねぇんだよ!」
「天使……?天族すら知らないただの人間が馬鹿にするな!起動せよ!“ヴァギナ”!」
彼女の持つ杖の先が光り輝き、部屋中を照らしていく。
彼等のほかに生物の存在しないこの部屋に、その光は降り注ぐ。
「……何が起きた?」
光っただけ、のように見えるがそれで終わるわけがない。
「男は私の“ヴァギナ”を正視することができない。私の“ヴァギナ”はゲンデイールの為のもの。他の男は見ることができない。」
「ヴァギナヴァギナうるせぇよ!痴女!」
しかしそれを聞いて理解できた。
彼女を見ようとすると、体が勝手に彼女を視界から離す。
水面に映る彼女の姿を見るに、こちらをあざけ笑っている様子。
「……だったら見なけりゃいいんだろ!?」
目を閉じ、それ以外の感覚を頼りに肉薄する。
しかしその途端、彼女の声が聞こえた。
「“テーザー”」
”視界のない状態であれを躱すことなどできるわけがない“そのことにすぐ思い当たり横に大きく跳躍する。
「よく躱すのね?ただの人間のくせに頑張るじゃない。」
「天使や悪魔、神を名乗る連中なんてゲーム中盤の雑魚だろ?そんなのに負けるわけないだろ?」
「さっきから私を馬鹿にして……天使?あんなのもう居ないのよ馬鹿な人間!」
彼女はその巨大化した、悪魔のような尻尾を振り上げ、両の足で肉薄してきたのだった。
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