ep7 黒の支配者

一しきり倒しきったことで、改めて自分のステータスを確認する。



NAME :ショコレータ・ショコランティエ

WEPON :マジックガンナー

RANK :2

POWER :150/150

LEVEL :5


STR:25

VIT:25

DEX:25

AGI:25

LUK:25

振り分け可能なステータスポイント:20


Aスキルスロット

【インパクト】

【ストンプ】

【】

Pスキルスロット

【】

【】

【】

EQUIP

・無し



「……おいおい、RANKが上がるだけでこんなに変わるもんかよ?」


POWERの上限が1.5倍になっている。

POWERは実質的に㏋でもあればMPでもある。

その秒間回復量も上昇していて、かつ上限もこれだけ増えていればRANK1のプレイヤーに負けることは有り得ないと言い切れるほどだ。


「とにかく進むか。……もう半分以上進んだっぽいしな。」


ジャッ、ジャッ、ジャッと音が鳴るようになった。

床が濡れて、と言うよりも薄く水が張っている。

水音がどうしても鳴ってしまうのは危険だとは思うも、かなり奥からも敵は集まっていたようなのでほとんど戦闘は無かった。

時折、数匹現れはするものの、踏み潰して進める程度の数。


「……広場か。」


とうとう終点へ辿り着いたようだった。

足元は4センチほどの水が溜まっており、広場は吹き抜けのように高い天井と、その上部から流れ落ちる下水が広場を濡らしている。


「……なるほど。ダムのようなものか?」


おそらく雨水は街中の用水路から岩山の中に流れ、ここに繋がっているのだろう。

大量の雨が降ったときはこの広い空間に一度雨水をため、通ってきた通路を利用して少しずつ川として流しているのだろう。


「あの通路も雨が降った後は浸水して通れないだろうな。晴れの日限定のダンジョンってわけだ。」


しかしどうしたものか。

どう考えてもこの広場は“ボス戦”だとゲーマーの勘が言っている。

ステータスを振っておくか、どうするか。


「まぁ、一度やってみるのがいいだろう。」


そうして踏み込んだ途端、システムアナウンスが響き渡る。


【Normal BOSS BATTLE】


【白と黒の衝撃】


【THE WHITE RULER】


【BATTLE START】


暗く、見えない天井から妙な音が響く。

ザリ、ザリ、ザリ……と石を削るような音だ。

やがてその音はやみ、轟音と共にその巨体は目の前に君臨したのだった。


――キルォォォォォォ!


「きったねぇ!……デカいだけかよ!ゴキブリ野郎!」


優に5メートルを超える巨体を持ったゴキブリ。

着地と同時に下水が跳ね、ショコレータの体に降り注ぐ。

【白と黒の衝撃】THE WHITE RULERは耳をつんざくような音を上げて襲い掛かってきたのだった。


「開幕の一撃だ!受け取れ!“インパクト”」


――ドゥン!


その一撃はこれまでの敵と同様、怪物の頭部へと吸い込まれその頭部を破砕する。


「……はぁ?」


……はずだった。


「おいおい……弱点じゃねぇのかよ?」


ここまで出てきたゴキブリはどう考えても初期レベルで倒せる相手だった。

それこそ音を立てて大量に集めてしまったからこそ苦労したが、一匹一匹は雑魚と呼んでいい弱さだった。

なればこそ、このボスにとっても弱点部位へのスキルを使用した一撃はかなりのダメージが期待できたはずだった。


「……傷一つねぇ……ってことは威力が足りねぇのか?」


――キルォォォォォォ!


さらに追い打ちをかけるように、ボスが叫ぶと天井や、元来た道からもこれまで倒してきた敵と同様、30センチほどのゴキブリが川のように押し寄せてきたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る