ep4 マジックガンナー

鞭を手に取ったマキナはそれで地面を叩く。


――ピシィ!


「バトルウィップ……鞭だよ。槍と同じ中距離武器で特殊技能は“急所狙い”」


そう言ってまた先ほどのサムライ人形を呼び出す。


「マキナに見えてるものをあなたにも見えるようにするね。」


すると、サムライ人形の右手首が赤く光っているのが見えた。

そこに容赦なくマキナが鞭を叩きつける。


「鞭は“急所狙い”を使うことで3秒間相手に弱点が付くの。そこを叩けば1.5秒間スタンっていう状態異常を与えて動きを止めるの。さらに急所狙いは次の攻撃の威力を大幅に上げるし、弱点を攻撃できれば必ずクリティカルになるからすごいダメージが出るよ。」


「なるほど?ガード判定はどこにある?」


「ここ迄の武器には全部あったガード判定だけど、鞭と銃にはないの。それに“仕切り直し”みたいに回避を補助するスキルも無いから鞭と銃は難しいよ。」


「あぁ……ならソロだと双剣、刀、槍から選ぶのがいいのか?」


「手堅いのなんて詰まんなーい!」


そう言ってマキナは最後の台座、銃の台座に触れる。


「いや、デカいな。」


マキナの体に似合わないほどの巨大な砲身は“銃”とは口が裂けても言えなかった。

形こそリボルバー式拳銃のようだったが、手に収まらない太さのグリップ……握る場所だけがへこんで持てるようになっているソレ、70センチはある銃身は巨大な模型とでも呼んだほうがよさそうなものだ。


「マジックガンナー……銃だよ!どう見ても銃だよ!」


「いや、キャノンとかそういう類だろそれ……。」


「なんとマジックガンナーはややこしいバフなんてありません!特殊技能は“チャージ”!弾丸を回転させることで貫通力と威力がどんどん上がっていくよ!」


そう言うとリボルバーのチャンバーが回転を始める。


「そこが回るのかよ!?……それで弱点は?」


「チャージは最低5秒かかる上にその場から動けないからそれが弱点かな!」


「ガード判定も無いのはきついだろ……。」


「あとチャージし続けてチャンバーが赤熱化したらそこが限界だからさっさと撃つこと!それを繰り返せるくらい自由に撃てるときはどの武器よりも強いよ!」


「いや、5秒以上動けない時点でまずないだろ……。」


「でも強いよ!一撃だよ!?」


弾を見ることはできなかったが発射された弾丸は一瞬で刀の時に使われた岩を砕いた。

そうして、5つの台座を順番に試したマキナ。

どうもマキナは威力の高い武器が好きらしい。

それで若干色眼鏡で見ている部分を考えるに……。


「よし、“バトルスピア”だ!」


そう言ってバトルスピアを手に取る。


「そんな地味な武器!いーやーなーのー!」


「いや、どう考えてもこれ強いだろ。100ヒットで確定クリだろ?」


「せめて、せめてマジックガンナーがいいのー!」


「強みがないだろその武器は!」


「通常攻撃のリーチと威力は一番強いもん!最高火力も赤熱化できれば一番だもん!」


「いや、クリティカルでずっと攻撃出来たらそこの火力差なんて吹っ飛ぶだろ!」


「違うもん!通常攻撃で弱点ずっと狙い続ければ実質確定クリティカルだもん!」


マキナはマジックガンナーを推しているらしい。

刀や鞭が出てこないのは恐らく槍に勝てないと思っているらしい。


「いいや、俺は槍を持つぞ!」


「ダメ!ダーメー!」


マキナがとうとう足にしがみついてきた。

バタバタと暴れてうるさい。


「最強のプレイヤーが使ったら最強になれる武器だもん!嘘言ってないもん!」


その言葉に、ショコレータはこめかみに青筋を浮かべながら、マジックガンナーを選択するのだった。

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