ep2 マキナと言う少女

真っ白な壁に囲まれた空間。

白く発光するその中はまるで異空間のような錯覚を受ける。

そんな空間に現れた男。

平凡な見た目の最強VRゲーマー。


「ログイン完了ってやつだぜ!……さて、まずは何をしろってんだ?」


白い空間に話しかける図は滑稽なものだが、それもVRゲームの醍醐味というものだ。


「ハロー、ニーハオ、ナマステー!マキナはマキナだよ!」


少女の声が響き渡る。

声の元を辿れば、真っ白な少女がいた。

ワンピースを着ているような、メイド服を着ているような、ドレスを着ているような、もしかしたらバニーガール姿かもしれない。


「マキナは“世界で一番かわいい女の子”だよ!」


あぁ、そうだ。

この服はホワイトロリータと言う系統の服だった。

少女によく似合っている。まさに“世界で一番かわいい女の子”だ。


「お、おう。」


「マキナはカワイイでしょ!」


「お、おう。」


「マ・キ・ナはカワイイでしょ!」


「あー……マキナちゃんはカワイイぞ?」


少女は満足したのか、指を弾く。

その途端真っ白な空間に草木が生い茂り、暖かな陽光が差す。

白い丸テーブルにはティーポットが置かれているように見える。


「すごいな、ここまでリアルなのか。」


ただの光じゃなく、暖かさを感じる。

柔らかな風が肌を撫でる感触も、足元をくすぐる草の柔らかさも。

全てが現実と酷似していた。


「フフン!それじゃあまずは“アバタークリエイトのルール”を説明するね!」


「あ、あぁ。よろしく。」


「“マキナちゃん!”ってちゃんと呼んで!」


「よろしく、マキナちゃん。」


面倒な少女だ。


「フフン!でもルールなんてほとんどないんだけどね!」


「あ、そうなんだ。」


適当に相槌を打つ。


「体系と体格は現実と差異が無いようにスキャンしたものをそのまま使うよ!だからタトゥー以外は首から上をどうするか決めるだけ!」


「つまり、腕が異様に長かったり、足が異常に伸びてたり、筋肉があり得ない量ついてたり、ほとんど骨だけみたいな体系は作れないってことだな?」


「だからパパッと決めてね!あなたの首のマネキンがあるから横の道具で好きにして!」


見れば現実の姿と変わらない首が机に置かれており、その傍にはメイクセットやナイフのような工具が置かれている。


「まぁ、俺は顔出し配信者だし……メイクだけでいいか。」


平凡な顔に少々のメイクでそこそこカッコよくなったと思う。


「よし、これでいいぞ。」


少女は出来上がった首を見て一言。


「えー……全然面白くなーい!でもいいよ。マキナは心の広い女の子だからね。」


そう言ってマキナは再び指を弾く。

突如として目の前に現れたのは、五つの台座だった。


「フフン!それじゃあ、ウェポンメイキングに入るよ!」


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