第二章 悪役令嬢、王子を観察する
2-1
「最近のルイーゼは何やら楽しそうだね」
いそいそと授業の後に
鍛錬部に夢中で、そういえば久々にシルヴィール様とお話ししたなと思い至る。
「はい! 学園にも慣れてきましたし、友人もできて楽しいですわ」
「……そう。それは良かったね」
シルヴィール様はそう言ってにっこりと
「シルヴィール様は
「ああ、そうだね。でも学園生活も楽しみたいから、できるだけ学園には来られるよう調整しているんだ」
王太子であるシュナイザー様が留学している今、シルヴィール様が
少し
「シルヴィール様。もしよろしかったら、
と
「ありがとう、ルイーゼ。でも――」
シルヴィール様は外に視線を
「ごめんね。今日は用事があるんだ」
「そうですか。お忙しいのにすみませんでした。また機会があればご一緒してください。……無理はしないでくださいね」
……学園に入ってシルヴィール様と顔を合わせる機会が増えたから気付いたのだが、月に一度のお茶会があった
何か私がしたのだろうか、それとも別の理由が……?
残念な気持ちを
「おい、シルヴィール……って、なんだこれ……」
地面に
「術によるものだろう。
「魔獣を一瞬で
「こいつらのせいで、ルイーゼと帰る機会を失ったんだ。
絶対
四六時中、暗殺の危機にありながらも、
「必ず黒幕を見つけ、生きていることを
ぞっとするような
ここ数日は魔獣の
「無理だけはするなよ。全く休めてないんだろう?」
「心配など無用だ。というか、ダルク。最近ルイーゼと
「ふ、
「鍛錬仲間か……息の根止めてもいい?」
「
シルヴィールの目は本気だった。
幼い頃からシルヴィールの側近として共に育ってきたが、こいつの婚約者への
いつも余裕そうな
最近は国の内部もシルヴィールの周辺もどうもきな
そんな
「そろそろ……
「は? 何か言ったか?」
「いいや、羽虫が最近
腹黒そうな笑みを浮かべながら言い捨て、シルヴィールは、そのまま学園を後にした。
ダルクは
***
今朝は早めに学園に向かい、授業前に鍛錬部へと顔を出す。
鍛錬用の服に
朝の
「ダルク様、おはようございます! 放課後、一緒にカフェに行きませんか? 最近とっても
「お、おう。
「えー! ダルク様と一緒に行きたいんです!」
ダルク・メルディス様に
二人とも朝が早くて感心だが、ダルク・メルディス様は完全に困っている表情である。
鍛錬仲間を放っておくのも人としてどうかと思い、二人の
「あら、メルディス様も朝練ですか?」
「っ! そう、俺には朝練があるから、その話はまた今度にしてくれ」
「え、なんでダルク様と悪役
最初にボソリと言われた内容は聞き取れなかったが、ピクセル・ルノー様は
残されたダルク・メルディス様は
「……助かった。正直最近付きまとわれて困っていたんだ。俺はカフェにも放課後のおしゃべりにも興味は全くないからな」
「そうなのですね。お困りかと思い勝手にしゃしゃり出てしまいましたが、お役に立てて良かったです。口実で朝練にお誘いしましたが、お
「ああ、受けて立とう!」
「令嬢にしては
「お
「えぇっ!?」
スパァァンとダルク・メルディス様の木剣を
「……
「勝負においては使える武器は
「……仕方ない。
部活には顧問が付き物なので、アドバイザーとして協力いただいているダルク・メルディス様に白羽の矢を立てたのだ。
「ありがとうございます。メルディス様!」
「……ダルクでいい。
そうぶっきらぼうに言われ、ダルク・メルディス様らしくてつい笑ってしまう。
「では、ダルク様。私のこともルイーゼとお呼びください」
「わかった。……って、やばい、シルヴィールに殺されるかな……」
最後の辺でボソリと言ったダルク様の言葉は聞き取れなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます