1ー3
***
「ルイーゼ様、
馬車に
今日は王立学園の入学式。
馬車の窓から見えるお城のような豪華な建物にゴクリと息を吞む。
真新しい制服に身を包み、
……絶対に、傷一つ付けられませんわ。
嫌な緊張感も追加され、なんだか馬車から降りるのもドキドキしてしまう。
決意と共に馬車のドアを開けると、
「お手をどうぞ。ルイーゼ」
「えっ?」
『
久々の再会であり、予想外の登場に素っ
「あ、ありがとうございます」
「ちょうど私も着いたところだったんだ。久しぶりだね、ルイーゼ。制服も似合っているよ。ブローチも付けてくれたんだね」
相変わらずお人形のような顔で綺麗に微笑むシルヴィール様は、私の胸元に付けられたブローチにそっと
「あ、ありがとうございます。ブローチも、身に余るほどの素敵な物を頂きまして、感謝しておりますわ。シルヴィール様も制服がよくお似合いです」
久しぶりに会ったシルヴィール様は、
あまりにも完璧すぎて、
文字が変わらないところを見るに、シルヴィール様も苦労しているんだな、と思う。
入学式会場までエスコートしてくれることになったシルヴィール様と共に、王立学園の門を
「痛っ!!」
思いっきり誰かにぶつかられてよろめいてしまう。まあ、鍛錬を重ねた私は簡単に地面に
ぶつかってきた女生徒は
「
心配になって女生徒に手を差し伸べる。善行令嬢ですもの、
「はい……えっ!?」
彼女は何故か物凄く
ピンク色のふわふわした髪にエメラルドのような緑色の瞳。
あら、
『主人公』『あざといヒロイン』といった聞いたこともないような言葉に首を
彼女は何かを待っているような様子だったが、やがて
「あ、あれ? 王子様は? っていうか
ブツブツと何かを
「ルイーゼ、大丈夫かい? 怪我はない?」
「はい。大丈夫ですわ」
むしろ思いっきり吹き飛んでいた彼女の方が心配だ。まあ、元気に走っていったので大丈夫だろうと気に留めないこととした。
クラス分けが発表され、私とシルヴィール様は一緒のクラスだった。
「ルイーゼ。これからよろしくね」
入学式後もずっと
「は、はい、お願いしますわ!」
ここ数年会うことのなかったシルヴィール様と、これから毎日顔を合わせると思うと何だか不思議な気持ちだ。
シルヴィール様と共にクラスに入ると、
「殿下と一緒にいるあの方は……、もしや今まで姿を現さなかったご婚約者では?」
「まあ!
コソコソと貴族令嬢の
確かに異能については、王族に近いある一定の貴族にしか公表されていないため、爵位がそこまで高くない伯爵令嬢が第二王子の婚約者であることに
善行令嬢に後ろめたいことなんてないのですから!
「私の婚約者のルイーゼだ。皆仲良くしてほしい」
シルヴィール様もにっこりと完璧な笑顔を見せると、教室の中のヒソヒソ声は
「そうだ、ルイーゼ、私の側近を
そう言って、同じクラスになったシルヴィール様の側近の方々が呼び寄せられる。
思い返せば何年も婚約者として過ごしてきたが、側近の方々と会う機会はなかったなと思う。
『異能者』として
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