第3話 ドンドコ(その②)

 それが大皿の上に、魚の活け造りみたいにさばかれて、盛りつけられて横たわっていた。


 よくよくその顔を見てみたら、ついさっき、天井を割って現れた無数の触手に絡めとられて攫われた、あの巫女めいた彼女だった。


 が、今はむきだしの裸だった。


 白い肌はなまめかしく、まるみを帯びた胸のふくらみは豊かだった。細くくびれた腰の線が、大きく張りだしたお尻へとなめらかに続いている。小柄ながらも豊満な、むちむちとした身体つきだった。乳輪は薄いピンクでやや大きめ、柔らかそうでいて弾力もありそうなふたつの乳房のうち、右の乳房の下のつけねにある小さなほくろが、妙に目立っていやらしかった。


 すると、閉じていた眼がいきなり開き、


「何、見てんだよ!」


 と、言った。


「⁉」


 驚く僕。


 ついで彼女は、


「何だバカヤロウ」


「文句あるか!」


「ジス・イズ・ア・ペン!」


 銃の連続射撃のように、リズムよく畳みかけてきた。


 その言葉が――元ドリフターズの荒井注のギャグだと気づくのに、少し時間がかかってしまった(実は以前、ネットの動画で見たことがあった)。


 そして一転、彼女は微笑みを浮かべると、


「わさび醤油で食べてね」


 と、のたまってきた。わ、わさび醬油?


 とりとめがなかった。脈絡もなかった。支離滅裂だった。


 僕が茫然としていると、眼鏡の三十過ぎの男がおもむろに語りだした。


 


 



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