第6話
大晦日。
だからと言って、特段これをする、みたいなことはなかった。
仕事で忙殺されて、することができなかった、と言った方が正しいか……。
中抜け休憩中に、明日のお雑煮、煮つけの材料だけ買いに走った。
ミツバは、地元で最も安いお店に比べて三倍以上値上がっていたのには少し参ったけれど……。
ちなみに、最も安い店もやはり波こそあるが、一番安い時は60円前後。
今日買ったミツバは税抜き198円。
正月はどうしても物価が高いなぁ……。
お会計を前に小さくため息を吐きたくなる。
もちは、薄いしゃぶしゃぶ用のもちを買った。
あまり多いと消費しきれない。
正直、砂糖醤油で食べることが多いのだが、それも二日程度までは好きだ。
三日目からは飽きてきてしまうのである……。
こんな時に思うのが、枝豆が安く大量に手に入れば良いのに……、である。
さらに、砂糖が大安売りでもしていればなお良し、と思う。
ちなみに、これは陣中餅がなまって名付けられた、という説のある料理。
そう、「ずんだ餅」だ!
父の郷里の地方で食べたものは本当に美味しかった。
ずんだ餅は私も好物である。
東北の武将隊には、写真撮影サービスの掛け声が「ずんだ餅!」というところもある。
よく贔屓にさせていただいている武将隊だが、今はなかなか会えない場所に住んでいる。
だからこそ、寂しさが倍増している気もしなくもない。
ニンジンはまだ1本あった、椎茸は干しシイタケを実家から持ち込んでいるし、水に付けて戻している最中である。
あとはレンコン、白滝程度だな。
私はそう思いながら店内を回った。
ただ、急いでいる時に慌てて買うのはあまり良くないと改めて思った。
ごま油を忘れてしまったのである……。
正月はスーパーも薬局も休みだったので、二日に買いに行くしかないようだ。
次はごぼうもニンジンも買ってこなければ……。
というのも。
久しぶりにきんぴらを作ろうと思うのである。
実家の両親が和食中心の生活をしていたせいか、私も作れる料理が和食中心である。
煮つけとか、きんぴらとか、生姜焼きとか、茶碗蒸しなど。
洋風も作れるが、オーソドックスなものしか作れない。
料理自体は本当に嫌いではないのである。
ただ、母がいる日は面倒だからとしなかっただけである。
二日は一日休みだから、少し料理に明け暮れるのもいいかもしれない。
幸い、実家から料理の本を二冊ほど持ってきているし。
作り置きすれば、夜ご飯に困ることも少なくなるだろう。
私はそう思うと、ゴロゴロして過ごすよりはいいような気がしてきた。
それにしても……。
今日は朝だけ作ったきり、昼も焼き餅をお持たせにしてもらい、夜は年越しそばをちゃっかりと二杯胃に収めて帰宅したのである。
得したような気になったり、いただいたのは嬉しいけど、たまにはこんなの食べたいと思っていただけにこれじゃないな、感は否めなかったり。
複雑な気持ちだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます