第3話

寝落ちて、何時に寝たかなど覚えてはいない。

粗方3時半ごろだと想定するとしよう。

六時ごろ、大好きなミュージカルの曲で目が覚める。


「……んあ? もうこんな時間か」

私は眠い目を擦りながら起き上がる。


「そろそろ洗濯が終わって……、あれ?」

洗濯機はエラーの表示で止まっている。

どうやら、蛇口を開けておかねばならないのを、うっかり閉めたままにしていたらしい。

私はがっくり肩を落としながら、蛇口をひねる。

と、洗濯機は動き出した。

「時間はまあ間に合うかね」

出勤する時間の一時間前に洗濯は終わった。


朝ごはんも、簡素にした。

昨日、パックご飯を半分しか食べないようにして、半分を冷凍していたから、朝からそれを解凍してお茶漬け、そして豆腐の味噌汁にした。


「この味……」

実家の母が作ってくれた味噌汁とよく似た味。

むしろ、最近母は田舎味噌と仙台味噌を混ぜた味噌汁を作っていたから、一種類の味噌のみで作っている私の味噌汁は劣化版と言ったところか。

具材も同じくネギと豆腐だけ。

家を出て一週間も経っていない。

だが、やはり恋しくなる味だ。


「お母さんの味噌汁が食べたい……」

母が朝、よそってくれる味噌汁。

普段は何気なく食していたのに、あんなに美味しい、幸せなものだったのか。

離れてこそ、よくわかる物だと改めて実感した。


食器を水につけて、仕事の支度をする。

それでも少し、時間は余った。

「早く行きすぎてもなぁ……」

私は苦笑いした。


仕事は、まったくやったことのない業種。

覚えることがいっぱいで、てんてこ舞いな午前中だった。


昼は支給されたお弁当を食べた。

肉や揚げ物が必ず入っている。

特に何も言うわけでもない。

ただ、キレイに完食せねば、と箸を進めるだけだった。


食べ終わると、私は指定の場所へと弁当箱を下げる。

寮に戻ると、私は掃除を始めた。

掃除道具は備え付けこそあった。

だが、心もとなく、私は伸びるハンディモップを追加購入した。

これなら高い場所も掃除できる!


掃除を終えて、私は疲れて昼寝した。

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