第2話イケメン神様
狩衣、袴姿の金髪碧眼イケメン神様と拝殿で初めて会って、5分後…
遥斗と義父は向かい合い、拝殿と繋がった住居用の屋敷の和室にいた。
「すまん…遥斗…急にお前に神様の世話役などを頼んで…」
義父は、本当に申し訳なさそうに畳に頭を付けて土下座した。
だが、遥斗は俄には、あの外人風男が神様などとは信じられなかった。
しかし、正確にはあの金髪の男は、三五八神社とその影響下の土地を護る神様の…その息子らしい。
義父の話しでは、名前は梛(なぎ)様と言うらしく、余りに人の世界に行きたがり、いい年をしていつまでたっても遊んで結婚相手も決めないので…
父神様に…
「人界、人界とうるさい!そんなに人の世界に行きたいなら行って、神界に気にいった相手がいないなら、人界で結婚相手を見付けるまで帰って来るな!」と神界を追い出されたらしい。
「本当に…あの人…神様なんですか?」
遥斗は、やはりどんなに考えても信じられない。
ましてや、神様が、人間と結婚してもいいのだろうか?と
「遥斗!あの人とは、無礼であろう!」
いつも温和な義父が土下座を止め正座し
、怒声を上げた。
「あっ…はい…でも…神様が…あんなにハッキリ見えるなんて、俺には信じられなくて…」
遥斗も、神職にいながら言う言葉でもないと思いなからも、正直に呟く。
「だろうな…でも、この三五八の神様は
、たまにそのお姿を代々の神主とその一族だけには見せて下さって来た。遥斗、お前にずっと黙っていたのは悪かったが
、お前がこの三五八に慣れたと思った頃に、怖がらないように打ち明けるつもりだったが、まさか、こんな事になるとは…」
そう義父は神妙に言うと、再び遥斗に土下座した。
義父の感情が忙しい。
「頼む、遥斗!若い者同士…梛様のお世話を頼む!」
「お世話…って言っても、何を…すればいいんですか?」
遥斗は、眉間に皺が寄る。
「梛様の身の回りのお世話と…その…梛様にピッタリのご結婚相手を見付け…それから…」
義父は、土下座したまま続ける。
「それから…梛様は、非常にグルメな御方なのだ…だからして…梛様が充分人界を堪能してご納得して神界にお帰りいただけるよう、遥斗、お前が梛様を色々な店にお連れしてくれ!」
「はぁ?!でも!俺、今は夏休みだけど学校が!」
(それに、俺、夏休み中に彼女とかバイクが欲しい!)
遥斗は、畳に両手を着いて大声を出し、心の中でも本音も叫んだ。
だが、義父は引き下がらない。
「夏休みが終わりお前が学校へ行ってる内は、義母(かあ)さんが梛様のお世話をするが、それ以外は、頼む、この通り!」
義父の頭が、畳に擦りつけられる。
「そ、そんな…」
遥斗が困惑していると、義父の妻、つまり、遥斗の義母が慌てて廊下を走り来て障子を凄い勢いで開けた。
「あなた!遥ちゃん!梛様が!梛様が!お止めしたんだけど、つまらないから一人で町に行って来るって出ていかれたわ!」
「何?!」
「何?!」
遥斗と義父は同時に慌てて立ち上がり、同時に叫んだ。
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