第7話 ナンバー16番


 『ナンバー16番』こと佐藤つぐみ、この完全ヒューマノイドは我願いを達成してくれそうだ。


「琴崎先生、残業ですか?」


 真っ暗な職員室の中で一ヵ所だけ光が灯っている。


「もう直ぐ、施錠時間ですよ」

「ありがとう、今日は愉快な気分でね。おっと、ゴメン、今、帰るよ」


 琴崎先生は若い教師に挨拶をするとパソコンの電源を落とす。暗い校内を自家用車のある駐車場に向かう途中に携帯が鳴る。


『ああ、わたしだ、完全ヒューマノイドの量産体制は整ったか?』

『はい、臨床部長』

『これでまた稼げる、友情度の数値化しての脳内快楽だ。何よりわたしが切望している』


 琴崎先生は携帯を切ると『フハハハハァー』と夜の校内で笑うのであった。


―――……。

……夢?


 わたしは少し寝ていたらしい。時間を見ると二時間ほど寝ていたのだ。つぐみからのメッセージが届いている。


『今日のドラマの最終回観た?』


 ここは観ていないことを素直に伝えよう。


『ゴメン、寝ていた』


 返事は来ない。つぐみは寝てしまったのかと思う。『おやすみだ』とメッセージを入れて寝る事にした。


 何か忘れている気がする。


 化学のレポートだ。最近の女子高生は寝る暇もないのかと考える。ホント、詰め込み教育もどうかと思うな。ブツブツ言っても仕方ない、書こう。


 さて、明日の天気はどうだろう?


 そんなことを思いながら夜は更けていく。

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