第2話 メッセージアプリの交換



「おや、その目は心を開いたのだな。このメッセージアプリの交換をしようよ」

「あぁ」


 つぐみに言われるままにスマホを取り出して交換する。その後、わたしは罪悪感に包まれた。しかし、そんな暇はなく。


『テンコン』

『テンコン』

『テンコン』


 つぐみがスマホを操作している。連続してメッセージを送っているのだ。渋々、メッセージアプリを開く。


『こんにちはだよ』

『よろしくだよ』

『ありがとうだよ』


……。


 これはなにを返せと言うのだ。


『ナデナデして欲しいよ』


 そうか?わたしはつぐみの頭をナデナデする。つぐみは自然と固まり好意を示す。


「嬉しそうに眼を細めるな!」


 つい、声が大きくなる。ざわつく周囲であった。そうか、ここは教室である。


「ゴメンなのだ」

「謝るのはこっちだ、つぐみは悪くない」


 ホント素直でイイ子だ。いつのまにか、つぐみが完全ヒューマノイドとの事をわすれさせる。


 イヤ、友達として認めたのかもしれない。


 時間が過ぎて昼休みとなる。つぐみは机をくっつけてくるのであった。


「二人で食べよう」

「そうだな、一緒に食べよう」


 お前は小学生かと思うが正直嬉しかった。とにかく、食べよう。わたしの昼食は菓子パンであった。


「わたしのお弁当は手作りだよ」


 少し羨ましが、ここは我慢だ。


 わたしは菓子パンをガツガツ食べると直ぐに菓子パンを食べ終わる。その後、ゆっくり、食べるつぐみを見ていると。


「撫子ちゃん、タコさんウインナーを食べる?」


 つぐみは笑顔で差し出す。タコさんウインナーはつぐみの箸に掴まれていた。わたしは誰も見ていない事を確認してつぐみに差し出されたタコさんウインナーを食べる。


「えへへへ」


 嬉しそうなつぐみは笑顔になっていた。


 この笑顔をわたしは失ったのか……ふと、死んだ親友のことを思い出す。


「また、寂しそうだよ」

「ゴメン、過去を引きずるのは建設的でない」

「大丈夫だよ、この世界は嫌なことばかりでないよ」


 わたしは恥ずかしくなり。スマホを操作する。


『テンコン』


 つぐみにメッセージを送ったのだ、内容は『ありがとう』であった。喜ぶつぐみを見て恥ずかしくなり。缶コーヒーを飲むことにした。


「少し、自販機に行ってくる。つぐみはお弁当をゆっくり食べているといい」


 自販機は部室棟の横にある。しばし歩くと自販機にたどり着く。


 ありゃー


 ブラックコーヒーが売り切れだ。渋々、ほうじ茶を買う。


 そして、ほうじ茶を一口飲むと、この味悪くない。


 飲み終わると急いで教室に戻るのであった。

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