紫 幻聴
私は偽善者
私は嘘つき
私は犯罪者
私は精神異常者
私は
死ね 早く死んじまえって声が木霊している
ずっと
誰もおまえになんて興味がない
そんな人間は現れない
他人に優しさを求めても無駄
他人の優しさに過剰な期待をするな
おまえはいつもそうだ
そうやっていつも愛情に餓えて
そういう自分を可哀相だと思っている
哀れな女
だから
死ね
死ね
死んじまえ
早く死んじまえ
うるさいうるさいうるさい
黙れ黙れ黙れ
負けない負けない負けない
落ち着かなきゃ
回復しなきゃ
温めなきゃ
そうじゃなきゃ
ほんとに死んじゃう
何度も何度も自殺未遂
何度も何度も首を絞める
タオルを使って
視界が揺らぐ
溶けるように揺らいで
紫色に染まる
まるで紫色の水に沈むようだ
でも
意気地がない私は手の力を緩めてしまう
そうして今日も死に切れない
時には自分を痛めつける
腕を切り刻んだり
頭を連打したり
頬を叩いたり
だけど無駄
結局
私は往生際が悪いのだ
気分がいいときには
死ねの声は呟きくらいになる
変わらず続いているけれど
まだマシ
全然マシ
聞こえない振りができるレベル
無視できる
私はまだ大丈夫って思える
まだまだ全然
大丈夫大丈夫って思える
なんでも二回繰り返す
そうしている間は大丈夫
誰かと話している時は
楽しいけどしんどい
でも
死ねの声は嘘つきに変わる
テンション上げて話せば話す程
後になってガクンと来る
がつんと来る
誰だよってなる
おまえ誰だよ
いったいナニ様だよ
どの面こいて言ってんだよ
なに先輩風吹かせてんだよ
うぜぇんだよ
ババアが
年増が
そんな生きてて空気も読めないか
気付かなかったーみたいな若い子みたいな振りすんなよ
マジで痛いんだよ
キモ過ぎだろ
だからさ
死んじまえよ
やっぱさ
死んじまえよ
もうおまえさ
他人と接するのやめたほうがいいよ
いい加減に気付けよ
天然なんですぶるなババア
おまえなんて所詮
紫色は死体の色
紫色はキチガイの色
そんなこと言われてる
だから
紫色が好きな私はどちらも当て嵌まる
私は生きてなくて
死体でキチガイ
逆か
キチガイの死体
どちらにしても屍
朽ちていくだけの存在
終わっている存在
もう1人の私は言う
ホラ
やっぱりそうだ
だから
生きてても死んでても同じなんだって
拘ることなんてなーんにもありゃしない
そうかもしれない
そうかもしれない
だけど、
「大丈夫。あなたにも、いいことがいっぱいありますよ」
そんな優しい言葉をかけられたら
誰かが自分のことを考えていてくれたことを知ったのなら
私はどうしても意地汚く生きてしまう
救われた気になって
ほっこりと温かいものが湧いてくる
声はいつのまにか黙っていた
きっと
私は人の間にいる限り
こうして些細なことに右往左往しながら
それでも生きていくのだろう
紫色が好きな私は今日も生きていく
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