第37話 結局なんとかしてしまう器用貧乏。
どんな難産もミチトがいるだけで安産になってしまう。
患者一人一人の問題点を聞き、産婆の指示さえ有ればミチトは何とかしてしまう。
ロゼも1人では甘いがジェードの指示で最適解に辿り着く。
だがここでアルマ達は「いえ!ご一緒させてください!」と言って着いてくる。
産バアは「偉い!よく言った!行くぞ!」と言ってフクラの街に行くと二組の赤ん坊を同時に取り上げる。
今はアルマとフィップがお湯を作ってイイテーロとマエーノが産婦にヒールを使っている。
ロゼとジェードは赤ん坊をサンフラワーと産湯に入れている。
産バアはこの内容に「本当便利だな。明日までかかるかと思ったらもうかよ。それにスードん所の嫁さんまで何とかしちまうなんてな」と言ってミチトを見て笑う。
ミチトはあの日アクィに言われた造縁術ではなく女性の身体を何とかする術を考えてメイディを何とかしてしまっていた。
「まあ、奥さん達に何とかって言われたんで何とかしました。若い時の病気でお腹の中が正しく育ってなかったから病気を治してお腹を育てたら何とかなりました」
ミチトは人差し指を天に向けてクルクル回しながら言うと産バアから「それ、もっとなんとかしな」と言われてしまった。
ミチトが「ええぇぇぇ?大変なんですよ?」と言うが産バアには通用しない。
「スードの嫁さんは何日かけて治したんだい?」
「…考えるのに3日」
「何日かけて治したんだい?」
「30分」
数秒の間、妊婦さんに赤ん坊を渡しているサンフラワーが困り笑顔でミチトを見ていると産バアが「やんな。大奥様の許可は貰ってるし大旦那様も若様もお許しをくださったぞ」と言って、ミチトは「…ぇぇぇ…たまたま上手く行っただけでダメな時もあるんですって…」と言って何とか断ろうとしている。
それはローサからも聞いている。
ヨシやロウアンからも注意を受けていた。
だが産バアには考えがあった。
「バカだねぇ、今から経験値を積んでおかないでどうすんだい?」
「は?」
「仮に10年してお前ん所の娘達に問題があった時にそれから考えるのかい?今からやっておけば病気とわかった時にすぐに治せるんだよ?喜ばれるぞ?」
「…え?メロにラミィ達が病気?俺は毎日診てますよ?」
そう、ミチトは朝晩必ず家族の健康状態をチェックしていて術で治せるものはさっさと治してしまっている。
だが産バアは「明日の事は誰にもわからねぇよ」と言った。
「…え?明日病気に?」
「誰がならねえって?絶対か?わかんのか?」
この言葉にミチトは「…やりましょう」と言って顔つきが変わった。
大鍋亭に帰ったミチトにはヤバいスイッチが入っていた。
ロゼとジェードから話を聞いて頭を抱えるリナとライブに呆れるアクィとイブ。そして困り笑顔で笑うしか出来ないメロ。
「バアちゃん乗せすぎだって…」
「うわぁ…、スイッチが入ってる」
「ラミィってまだ10歳よ?」
「あ…シックさんに連絡してますよ」
ローサ経由で既に連絡を貰っていたシックはその事を隠しながら二つ返事で「任せてくれよミチト君!少し大変だが今すぐに治癒院に子供を授かれないご婦人達を集めておくよ!」と言う。
「ありがとうございます!イブ!メロ!とても嫌だと思うけど王都に行こう!」
ミチトは更に産婆とサンフラワーも連れて治癒院に行き片っ端から女性の悩みを解消していく。
産婆は「俺ぁなんでここに居るんだ?」とボヤき、イブに「やり過ぎです。あんなこと言われたらウチのミチトさんは止まりませんよ」と言われて少しだけ後悔をする。
そして病はなんとか治せたがやはり生まれつき女性機能を持たない人なんかでは治しようが思いつかずにドンドン思い詰めていくミチト。
これを見てようやくローサやロウアン達の言葉の意味を理解した産婆は「バカ、それはお前さんにも仕方のない事だろ?」と言ったが、それはミチトからすれば許されない言葉だった。
物凄い圧で「は?何言ってんですか?この人は一縷の望みでここに来たんです!なんとかします!俺は器用貧乏です!」と言ったミチトは結局水人間と受肉術の間を取った限定的な造肉術を作り出す。
「んー…魔水晶の模式だと…2人で1日1人くらいだよなぁ。そうでもしないと無理矢理頼まれるだろうし、後は他の内臓は作れないようにしよう。そうじゃないと命がぼやける」
ブツブツと言うとフラとライを呼んで造肉術を授ける。
「やれそう?」
「うん。でも女の人のお腹だけ?」
「男の人は?」
「あんまりやると良くないかなって…」
だがここでシックが待ったをかける。
「ミチト君!確かにそれはわかるが子供とはお父さんとお母さんから生まれてくるんだよ!だから限定的にしてもいいから頼みたい!」
「ええぇぇぇ…、解決策が思いつきませ……、あー…思いついちゃったよ」
ミチトが思いついたのは造肉術を腕輪にしてしまう事で男性機能と女性機能のみに特化させて腕輪をつけて一年でゆっくりと作り出されるようにした事だった。
「これ、個人差があるから恨みっこなしで治癒院の人が認めた人だけに貸してあげてください」
「ありがとう!素晴らしいよ!子供が沢山生まれれば良い事づくめだよミチト君!」
「良い事ですか?」
「ああ。タシア君達の子供、ミチト君の孫の頃に子供が沢山居れば楽しさは倍に、辛い事は皆でシェアが出来るからね!」
ミチトはこの言葉に満足そうに帰って行った。
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