第21話 ロゼの提案。

このままロゼ監修でエスカ達の元に行くメンバーが決まってしまう。

「じゃあ俺はマアル迎えに行ってそのまま行くから、パパはナハトおじさんを迎えに行ったらその足で向かってね。アクィママはラミィとシアをよろしくね」


ロゼの指示を聞きながらライブが「うわぁ、ロゼってミチトによく似てるよね」と言い、アクィが「本当、頼もしいと言うか不安になると言うか」と続けるとイブが「大丈夫ですよ!ロゼにはマアルちゃんがブレーキ役をやってくれます!」と言った。


これにはジェードがヤキモチを妬いて「メロ、俺って何処が似てる?」と聞くが「んー、術を考えたり、面倒がっても皆の面倒を見る所はソックリだよ」と言われて気をよくしていた。



ミチトは「あー…、行く前に煩いからマロは寝かせとこう」と言うとそのままサルバンに行ってナハトを拾う。ナハトはズタズタのボロボロで「何やってんのお前?」と声をかけると「まだお兄さんに追いつけていません!」と返してくる。


ミチトは呆れながら「まあ程々でやめとけよ?」と言いながらエスカ達の元に行くと既にロゼがマアルを連れてきていて玄関をノックしてエスカを呼んでいた。


そしてエスカが玄関を開けるタイミングでちょうどアクィ達が来た。

ミチト達に気付くエスカは嬉しそうに「ミチト!アクィさん!皆!ナハト!」と言う。


「山婆ちゃん来たよ!」

「こんにちはお婆ちゃん!」

「お邪魔しますわ!」

「えっと…ただいま」


ミトレは狩りに出ていて不在だと言われたミチトはミトレに声を掛けながら鹿を仕留めるとミトレごと玄関に連れ戻す。


その横でエスカが「今日はどうしたの?」と聞くがナハトは「僕も聞いてない」と返す。


「パパから話があるんだけど俺達山婆ちゃんと爺ちゃんに会いたいからアクィママに頼んで連れてきてもらったんだよ」

「あら、ありがとうロゼ君。ミチト?」


ここでミチトは古代神聖教の話とダンジョンの話とボスモンスターの話を説明しそれとなく真式の説明をする。


「この土地を離れたら寺院の聖地にして廟を建てるの?」

「ええ、王都でそうできないかと言われました」


この提案にミトレは自分の意思はなく妻のエスカの意志を尊重させようと「エスカ?」と聞くとエスカは「…私達が山を降りたらここは何もなくなるけど聖地にして貰えたら父さんは喜ぶわね」と言う。


妻の意見が聞けたミトレは「ナハトは?」と聞く。

ナハトは「僕には村としての思い出はないし、お父さん達がいいなら構わないよ」と言った。



この話し合いでいずれズメサに降りた時はこの地を聖地に変えてしまうことが決まる。

これで帰れるかと思った所でロゼが余計なことを言った。


「山婆ちゃん達さ、ダイモに泊まりにおいでよ」

「ロゼ君?」


「嫌ならサルバンでも良いけどとりあえず4日から5日くらい。なんだっけ?マロさんとか言うの連れてどうかな?お金ない?」

この問いにミトレが「…いや、お金はこの前のナハトの賞金があるから構わないが何故だい?」と聞く。


ロゼはミチトがするようにミトレの問いには答えずにミチトを見て「んー…パパ、この家の家具って収納術でしまえるよね?」と聞く。


ミチトは話の展開が読めて「ロゼ?まさか…」と言うとロゼは「うん。俺この家で家族の日してみたい。パパの家でもあったんでしょ?俺達のベッドとお風呂道具だけ持ってきてやろうよ。さっきアクィママに聞いたけどアクィママとフユィとベリルでやるんでしょ?それの他で4家族でやろうよ」と言った。



ロゼはこう言うところがうまい。

「マジかよ」と言っているミチトを無視してナハトに「ナハトおじさん!いいよね!」と言い、間髪入れずにアクィにも「アクィママ!パパが昔住んでた家で家族しようよ!」と言う。


ナハトは当然「いいと思うよ」と返し、アクィも「お義父様、お義母様、ダメでしょうか?」と貴い者の顔で聞く。


こうなるとミトレもエスカも二つ返事でアクィ達の意見に乗る。


自分の手を離れ話が決まっていくミチトが再度「マジかよ」と言っている間にもアクィは大鍋亭の皆にこの状況を見せるとミチトの耳にはアイリスの声が聞こえてくる。


「ミチトさんのお家でロゼと3人家族がしたいな…。ご飯を作って食べて…したいな」


この「したいな」は楽しい家族をしたい「したいな」であって欲しいミチトは恨めしそうにアクィを睨んで「アクィ!」と伝心術を使うと「お昼のステーキ肉の仕返しよ」と返ってくる。


もう訓練と王都の話ではないがイタズラ心に余計なおまけがついてしまったミチトは唯一の落としどころとして「…メロが来るなら受けるよ」と言った。


ミチトの落とし所はメロで、メロさえ来るなら受けると言う。

メロは呼ばれないと思っただけに驚いて居たが、リナから「良かったじゃない」と言われて嬉しさと困惑の混じる顔をする。


リナはメロの顔を見てから「イブ、家族の日は6日になったとミチトに言ってよ。最終日はアクィとメロとミチトだよ」と言うとメロが目を丸くして「お母さん?」と聞き返す。


「メロの夢だよね?ミチトとアクィと3人家族。いいじゃない。ミチトの生家でアクィと3人家族をしてもバチなんか当たらないわよ」

ニコニコと眩しい笑顔のリナに「いいの…かな?」と聞くメロ。


「嫌なの?」

「嫌じゃないけどメロばっかり…」


「バカね。ばかりなら今回はアクィだよ。落ち込んでるからこれからフユィとベリルと4人家族をするんだってよ?」

「本当、ヤキモチだよね」

「まったくですよ」


メロはその顔に泣いて感謝を告げてリナ達に抱きついて「お母さんもお姉ちゃん達も大好き。いつもありがとう」と言った。

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