第20話 スティエット村のその後。
アプラクサスの話を聞くと、スティエット村からエスカ、ミトレ、マロを麓のズメサに移住させて村そのものを無くし、寺院の廟…聖地の一つに変えてしまわないかと言うものだった。
ここでライブが「そう言えばミチト、私達ズメサについて詳しくないんだけどさ、よく村を出たミチトはズメサに住んだね」と質問をする。
確かにミチトなら村から離れた所に住みたいはずだとアクィ達も聞きながら疑問に思う。
ミチトは人差し指を天に向けながら「村から1番近い麓の村は別にあるんだ。ズメサは横に歩くからね。あの村からズメサを目指す人は殆ど居ないから平気だったんだよ」と説明した後で「ライブはこの前空から見なかったの?」と聞く。
ライブは呆れ顔で「そんな余裕ないって、本気の追い風と超重術だよ?」と言うとミチトはあの晩のライブを思い出して「そっか、ごめんね」と言う。
ミチトは話を戻してアプラクサスに寺院の廟を建てる件と聖地の件について質問をする。
アプラクサスが答える前にアクィが「そういえばミチトから古代神聖教の話って聞かないわね」とミチトに聞いた。
「俺は宗教を信じる暇も何もなかったからね。神様というのがいて試練を与えるというならもう沢山だし、救いがあると言うならもっと早くに手を差し伸べてくれたはずさ、もっと言えば俺を苦しめた連中だって罰がないのも変だろ?」
この返しにアクィは慌てて「あ…、ごめんなさい」と謝る。
「いや、何で謝るの?」
「今すごく嫌そうな顔をしていたから…」
アクィの表情を見てミチトは「別にアクィに何かを言ってないよ。俺は平気さ」と言う。
「アプラクサスさん、話を止めてすみません」
「いえ、では簡単に言うと古代神聖教は古い時代の教えを守って生きています。大体1000年前に始まって、他の宗教を取り入れて独自進化を遂げて今の形になりました」
「ん?1000年?」
「はい」
ここでシックが「生きた聖人達が戻ってきたよね?」と口を挟む。
生きた聖人と言われてミチトが「まさか…」と言うとアプラクサスが「はい。無限術人間真式…オルドス氏と金竜様をはじめとした1000年前の方々はまさに古代神聖教からすれば聖人のような存在です」と答える。
ミチトの脳内には金色たちが居て、その金色たちの取りまとめではないが、ニコニコヘラヘラとしながら数多くの余計な真似でミチトを怒らせる真式の顔を思い浮かべてしまうミチトは「はぁ?真式なんて別に偉くも何もないですよ?」と言い返すが、シックが「ミチト君、それよりもだね」と言う。
「シックさん?」
「聖人達を救い出したのは誰かな?闘神様?」
シックの言葉にミチトは何でこの流れになったかを察して「…げ…」と言う。
アプラクサスはミチトの機嫌を悪くしないように「ミチト君の名を冠したスティエット村は正に聖地に相応しいと言われていまして、後はトウテですね。将来はロウアン達と話してトウテを聖地認定したいそうです」と伝えた。
「なにそれ…マジかよ」
「まあそんな訳で代表でミチト君にご意見を求めています」
代表にされたミチトは「…えぇ」と言って嫌そうな顔をすると横のイブが「アプラクサスさん。イブからも質問してもいいですか?」と聞く。
「はい。なんでしょうか?」
「ミチトさんのお爺様達のお墓はどうしますか?」
「それはミチト君が望まれれば丁重に聖地で弔います。ズメサが良ければミチト君のお力をお借りしますがお墓を移動していただければと思います」
この返しにイブはミチトを見て「トウテのお墓にしますか?」と聞くとミチトは首を振って「あの土地を見つけてくれたのはお爺さんだからあの土地に葬りたい」と言うとすぐにアクィが「じゃあ話し合ってきなさい」と言う。
「アクィ?」
「勝手に決まってもお互い良くないんだし、ナハト君も含めて話してきなさい」
ミチトは本当に嫌そうに「ぐぇ……嫌すぎる」と言うとロゼが「パパ、山婆ちゃん達と話すの苦手なの?」と聞く。
聞かなくても何となくわかっているジェードやメロはとんでもない質問に青くなるがロゼはある種無敵の人で気にしない。ロゼ自身ミチトが嫌がっている事は肌で感じているがキチンとミチトの言葉で聞きたかった。
「うん。あの人とは仲良くないからね。それにメソメソ泣くからさ…」
だから苦手だと言いかけるミチトにロゼは「ふーん…、じゃあ…ママとライブママも困った顔をするからアクィママと、後はシアとラミィと俺と……あ、マアルも見たいって言ってたか」とブツブツと言う。
「ロゼ?」
「パパが嫌な所だから俺とアクィママとシアとラミィとマアルで着いて行ってあげるよ。さっさと行こうよ」
この流れに「ええぇぇぇ?」と嫌がるミチトを無視してロゼは「メロは帰ったらクッキー作ってよ」と指示を出す。
メロは「クッキー?」と聞き返すとロゼは「朝のは美味しくなかったんだよ」と言うとそのまま「ね?ジェード」と確認をするとジェードは「うん。アレは風邪の日のメロより酷かった」と言って物凄い顔をする。
勝手に話が独り歩きする中、ミチトは恐る恐る「いや、あの…ロゼ?」と聞くがロゼは「何?パパだっていつも謝るのも話すのも早い方がいいって俺達に言ってるよ?」と言ってくる。
この言葉にジェードも「確かに、この前ファイヤーボールで木を焦がした時もセルースおじさんに早く謝れって言われたな」と同調する。
アクィは貴い者の顔で「あらあら。ミチト、子供達に言うのだから自分でもしなさいよ」と言うと後ろめたさのあるミチトは肩を落として「ぐぇ…」と言う。
その顔はジェードやロゼによく似ていてイブ達も笑ってしまう。
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