第8話 ネックレスの複製。

ミチトの悪戯は止まらない。

エーライとイイテーロとロワで手を繋がせてガットゥーに認識阻害の状態で戻ると当然ロリーは「スティエットさん?ウチの子供達は?」と聞く。


「居ますよ。見ます?」と言った次の瞬間に認識阻害を解かれて「こんにちは、来ちゃった!」と言うエーライと手を繋いでいて首には豪華なネックレスを付けたロワがミチトおじさんに買ってもらいました!」と言っていて逆サイドではイイテーロもエーライと手を繋いでいる。


ロリーは超展開に「ひぇ」と言った後で顔を作って「ようこそガットゥーへ」「おかえりなさい。楽しかったかしら?闘神様にお礼を言っておきますね」と言う。そんなロリーを見てミチトは「おお、ロリーさんすごい!」と喜んだ。


サンクタはマアルと腕を組むロゼを見て目を三角にしたが指輪の話に何も言えずにナイワは「ありがとうロゼ君」と言う。


ここで終わるのかと思ったがシアとラミィは違っていた。

4婆の所に駆け寄って「買ってもらったの!」とネックレスを見せる。


「あら、良かったわね。でもそれ少し大人びてないかしら?サルバン嬢は止めなかったの?」

「まったく、子供の頃から金遣い荒いと大変よ?」

「まあ、とても綺麗ね」


そして顔の暗いエスカにもネックレスを見せると涙を浮かべて「本当、綺麗だわ」と言う。


ラミィ、シア、フユィ、ベリルは4人で「どれが好き?」と4婆に聞く。

ローサは質問の意味を察して「うふふ。偉いわね。私は最後に決めようっと」と言うとティナとソリードも先にエスカが選べと言う。

エスカはシアの持っていたネックレスが綺麗と言うと次々に子供達はローサ達に「どれ?」と聞く。

割り振りが決まった所でシアが「お父さん!来て!」と呼び、ラミィが「ロワ!ロリー様といらっしゃい!」と呼ぶ。


まだエスカが居るとぎこちないミチトだが「どうしたの?」と聞くとシアが「今日の思い出に私のを山お婆ちゃんで」と言うとラミィは「私のがローサお婆様ですわ」と続く、後はベリルがソリードで、フユィがティナだった。


「…それってまさか複製しろってやつ?」

「うん!お願い!!」

「貴い者としてお願いしますわパパ」

「パパお願い!」

「お願いしていいかな?」


可愛い4人の娘に言われても「ええぇぇぇ…、やるけど…ええぇぇぇ」と言うミチトを珍しがってローサが「あら、ミチトさんにしては珍しい。何困ってるの?」と聞く。


「ネックレスって難物なんですよ。鎖の複製が面倒くさい…。それが4個…5個だろうなぁ」

ミチトはロワとロリーを見てため息をつく。


そして複製を始めると一個30秒で複製してしまい「面倒だから宝石は魔水晶でいいや、色は同じでいいですか?」と聞く。


「同じでいいですけど簡単に作って面倒くさいの?」

「簡単?すごい大変ですよ?これが全部指輪ならネックレスを一個作る間に全部終わってますよ。ネックレスは時間がかかるんです」


ジト目のミチトにイブが「ミチトさん…一個30秒は簡単って言われますからね?」と注意するとミチトは「イブ?マジで?」と言って驚いていた。


出来上がったネックレスをそれぞれの子供に渡すと子供達から祖母達に渡される。

「今日の記念ですわ!ガットゥーで会えた記念のネックレスです」

ラミィの言葉に合わせて子供達が渡すとエスカは「ありがとうシアさん、ありがとうミチト」と言って泣く。


ロリーもモットーは質素倹約だけど嬉しいと言ってロワを抱きしめていた。

ロワもうまいのは「ミチトおじさんのおかげ!ありがとう!」とお礼を言ってミチトは気持ちよく終われる。


ここで済まないのがナイワで「スティエットさん。何が難しいのか御指南いただけませんか?」と聞きにくる。


「鎖がくっつかないように細かく術の質を変えるんですよ。それの制御が面倒で…ってロゼにやらせたいんですか?」

「はい。マアルもネックレスをいただいても良い年頃かと思います。是非ともいただけましたらメロ嬢からベリル嬢までのお揃いのドレスをお礼にさせていただきたく…」


ミチトは最後まで聞く前に「やりましょう!」と言うと「ロゼ!今すぐマアルさんとモンアードに行ってネックレスだよ!書状は…1番嫌がりそうな人は…、居ないか。またローサさんところにして」と指示を出した。


ロゼは「…パパ?マジで?」と聞きながらもどうしようもない事を察して、申し訳なさそうにマアルに「ごめん、いい?」と言うとマアルは「はい!」と言ってすぐにモンアードに行く。


マアルは先に目をつけていたゴールドにピンクの宝石が付いたネックレスを選んできてロゼに渡す。


少々複雑なデザインと目の細かいチェーン部分を見て「ぐぇ…面倒くさそう」とロゼは言ったが、頭を悩ませて居る間に完全にスイッチが入りムキになる。


流石はミチトの息子。

効率重視になると暴走をする。

思案した後で「ダメだ!マアルごめん!」と言うと椅子に座ってマアルを膝に座らせて「ごめんまだ遠いからくっついてて!」と言う。


言われたマアルは真っ赤で、でも嬉しそうにロゼの肩に頬を乗せて掌を見守る。


傍目にキレそうなサンクタだったがナイワが睨みを効かせた上にライブから「ごめん!ロゼがやるから黙ってみてて!」と言われてしまい何も言えなくなる。


アクィだけは「ふふ、真剣な表情。ミチトが私を究極の術人間にしてくれた日みたい。私達の息子がそれをするのを見れて幸せ」と喜ぶ。



「ダメだ…時間がかかる。それじゃあダメだ…パパにやれたんだ。俺だってやる、火…水…火じゃ切り替えが遅い…火…水…風…土でやるんだ」


ブツブツと言ったロゼはあっという間にネックレスの複製に成功する。そしてネックレストップを作ると「ごめんねマアル。お待たせ。さっきのは大きすぎるからサイズダウンしたよ。同時にやるにはマアルが近くに居てくれないと出来なくてごめんね」と言いながらネックレスを渡すとマアルは真っ赤な顔で「素敵です!ありがとうございます!」と喜ぶ。


「ロゼ、パパに魔水晶貰って宝石作ってやれって。それ、なんかスカスカで格好悪いぜ?」

「あ、確かに、ありがとうジェード。パパ、魔水晶頂戴」


ミチトは「全く、ドンドンやれるようになるね」と言いながら笑顔で魔水晶を渡すとメロがミチトの魔水晶を見て「パパ、親バカすぎだよぉ」と言い、イブも嬉しそうに「ミチトさん、無限魔水晶はダメですって」と笑う。


「あ、バレた?じゃあロゼには普通の魔水晶を渡すよ。着色の仕方はわかる?」

「思った色を術に乗せて魔水晶に流してたよね?」


「見てたか…やるね」

コレが不満なのはトゥモで「なんでロゼは出来るの?」と言う。

ジェードが「そりゃお前、トゥモは孤高の天才だけどロゼは俺たちと同じだからフユィみたいに足りない分は頭使ってんだよ。頑張れよ天才」と言葉を送ると「悔しい。帰ったら訓練する」とトゥモは言った。


「俺の術で色を変える。あとは大きさと形も…」と言って集中を始めた時に「待てロゼ!」とジェードが言う。


「ジェード?」

「お前、折角ならマアルの好みの色と形にしてやれって」


「あー、それいいかも。マアルの好みが見本のネックレスならそのまま真似るけど違うならやってみていいかな?」

「はい!お願いします!」


サンクタはこのやり取りにも目を三角にしたが遂にはアルマやノルア、イシホまで来て「父上はイメージトレーニングでもしていてください」と言われてしまう。

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