親と子(エスカとミチト)。

第7話 前のり。

ミチトは別荘に行くと1番にライブを抱きしめる。

「いつタシア達が帰ってくるかわからないからしないよ」と言って抱きしめてキスをするとライブは「ミチト?リナさん居るよ?」と目を丸くする。


「うん。リナさんもアクィもアイリスも居てくれるね」

「それなのに私なの?私昨日も沢山一緒に居たよ?」


「ライブは沢山癒してくれるって言ったし、まだ足りないから」

「いいの?」


「いやなの?」

「嫌じゃないよ!」


ミチトとライブを見たリナ達は「じゃあ私は子供達の分のケーキを焼くわ」「私も軽食くらい作ろうかな」「イブもお手伝いします」と言ってキッチンに行ってしまい、ライブは目を白黒させながらも嬉しさに震える。


ケーキと軽食の用意が終わるとベッドにやってきたリナ達を迎えて本格的に4人でイチャイチャゴロゴロとして眠ければ昼寝をする。

全員ロクに眠れていないのですぐに眠れる。


皆で絡まるようにくっ付いて眠ると、ミチトは嫌な考えに支配されずに穏やかな時間を過ごす事が出来た。


モバテ達は予定より早い迎えと当初はアクィだけだったのがミチトがいる事に驚いたがシックから理由を聞き仕事を片付けてガットゥーの前乗りを受け入れた。


エーライはリッパーとミコット、エクセレンを連れ立って「ミチト君!僕の子供と奥さん!はじめましてだね!」とやらかす。

お妃様と王子様と王女様とは面識が会っても、一般人状態の3人とは初なのでミチトはジト目で「エーライさん?3人って偉い人感出したりしません?」と確認をする。


エーライは笑顔で「しないしない。しないよ」と返すと、確かにリッパーはタシアと肩を組んで「腕太いねー!格好いい!」と話しかけて、ミコットもシアに「今日は何してきたの?ガットゥーどう?」と聞いてキャイキャイしてて逆にラミィが一瞬処理限界の顔をしていた。


エクセレンは素で立っていてよそよそしく見ているとモバテが「お前はしっかりしろよ」と言い「お父様は娘の私よりミチトさんのご家族かと思っていましたわ」と返す。


ミチトは初耳で「え!?エクセレンさんってモバテさんの娘さん!?」と驚くとモバテが「似てなくて悪かったな」と言う。

これには「ミチト、もう少し貴族に興味を持ちなさいよ」「イブでも知ってましたよ?」と突っ込みを入れた。



出かける際にエーライが「とりあえず王都の監視はアクィさんに任せていいのかな?」と聞き、アクィが「はい。お任せください」と返すがミチトは「エーライさん、無理ですって、誤認逮捕が増えますよ」と意見する。


「はぁ?心眼術で見るわよ!ムカつくわ!ラミィ!トゥモ!後は術が得意なロゼ…ってロゼはマアル係か…、ラミィとトゥモもガットゥーから王都を見て!やるわよ!ミチトにやれるところを見せるわよ!」


そんなロゼはマアルと腕を組んでいる。

何も知らないジェードが「ロゼ?何やってんのお前?」と聞くと「マアルと王都を歩いてたら真式のおじさんが金色さんと散歩してて指輪作りのコツを教えてくれたんだよ。それでマアルは大変だけど指輪の為にって頑張ってくれてるんだ」と返す。


マアルだけはニコニコだったがジェードが話しかけた時は鬼の形相になる。

顔には「余計な事すんな」と書かれている。

ジェードは背筋が凍ったがそれを隠すように「何それ?」と聞き返す。


「今マアルの指についてる指輪、少し歪なんだ。それを気にしていたら真式おじさんが「まだ少し距離があるんだよね。始めたてだからもっとマアルさんを近くに感じないとダメなんだよ」って教えてくれて、それでマアルとどうするべきか相談したら「くっ付いてみたらどうでしょう!」って言ってくれたんだよ」


それは普通に心の距離の問題で、これに関してはロゼが完全な朴念仁になっていて、指輪を複製するなら数をこなして創意工夫すれば良いのだが、マアルの指輪となるとマアルを近くに感じて意識しろと言う話だが物理的に距離を近付けてなんとかしようとしている。


そこにマアルの邪な…乙女の夢が介入した結果、できる限りくっ付こうと言う話になっていた。


「ロゼくん!アルマとお部屋を取り替えませんか!?」

「ええぇぇぇ?それはダメだよ」


「アルマとジェード君の仲を良くしてあげて今度こそ勝ちましょう!」

「…一緒にいたら勝てるかな?」


「はい!ぜひお願いします!」

だがコレは目を三角にしたサンクタと呆れ顔のリナにダメ出しをされて、落とし所としてガットゥー滞在中は子供達は大部屋で仲良く共同生活をする事になった。


この件でタチが悪いのはロゼは思い込みすら力にする事で、ロゼはガットゥーに戻る前に寄ったモンアードで「パパ、指輪買わせて」と言い、マアルに選ばせるとそれをその場で複製してみせた。

出来は過去最高。


「やった!真式おじさんの言う通りだった!ありがとうマアル!疲れちゃったよね?ごめんね。これは今日のお礼。こっちは大人になったら着けてね」と言って指輪を渡す。


結果を出されると何も言えない訳でライブも「まったく…、サンクタさんに訓練ですって言わなきゃ」と言っていた。


シア達が珍しく「お父さん、私たちもいいかな?」と聞くと目尻を下げに下げたミチトが「いいよ。でも俺がが作ろうか?」と営業妨害を始めるが「それは後でね」と言ってベリルとラミィとフユィでネックレスを手に取って「ロワは?どれにする?」とシアが聞く。


少し羨ましそうに見ていたロワは「私もですか?」と驚きを口にして、「ですがお母様から質素倹約と言われてまして…」と続けて遠慮しようとしている。


シアは納得せずに「お父さん?」と聞くとミチトが「うん。ロワ、今日は楽しかったかい?」と声をかける。


「はい。王都も素敵な所でしたが同年代のお友達が居ないのでラミィさん達と居るのがとても楽しかったです」

「じゃあ今日の思い出に一個選んでいいよ」


「本当ですか!?」

「うん、支払いこの人にするし」

ミチトは意地悪くエーライを指差すとエーライも「楽しいねぇ」と笑って、「ミチト君用の支払い枠があるから構わないよ」と言う。


ミチトは途端に嫌そうな顔をして「つまんない。ディヴァント家に請求してください」と変えてしまう。

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