第13話友人として…

 宝物庫、帝国のあらゆる財が収められているとされる場所。そこにはかつての建国時に使っていた多くの英雄達の品々が収められている。


 一つ、一つが手に入れれば凡人であっても小さな都市を支配できてしまうほどの財をなせてしまうと伝えられるているが、この場所に入れるのは皇帝の一族か、信頼されているものだけが入ることが許されるのみでそれ以外の人は入ることができないでいたのだが。

 

二日程前に何者かによって、宝物庫の侵入及びよりにもよって、国宝の中で一番厄介な代物が盗まれてしまった。

 

 帝国始まって以来の大事件であり、皆が誰がやったのか、それぞれ疑問に思っていた。ほとんどのものが手練れの盗賊団と思っていたのだが。一部の人は大方目星がついていた。


 その一人である近衛大将昌景は、腹心の根室だけ連れて宝物庫の近くで誰か来るのを待っていた。というより待たされてる。それは誰にかは言うまでもなかった。


 しばらくすると、カチャカチャと小うるさい音がゆっくりと聞こえてくる。その音はゆったりとしているが決して慌てる感じでも無く、異様な気配を感じる。


 「根室。」


「はっ。」


短く厳格な物言いの昌景に対して、根室は短く答えその場を後にする。長年の経験からか次の行動がわかるのか、それとも事前に決めていたのかはわからない。しかしこれから対峙する相手つまり黒幕と渡り合える事はまず根室ではできないその理由は。



 「やはり……と言ったところか。」


昌景達が宝物庫から入ってきた所から逆から一人の老兵が現れた。その顔は何故か、憂いに満ちた表情をしている。その手にはかなりの長さがある大太刀を持っており、すでに戦闘体制に移っている。


 「その言葉、そっくりそのままお返しします。」


昌景もまた、刀を抜き構える。隙を見せないように細心の注意を払いつつ、眼前の敵の顔をみるが目をそ抜けたくなる思いを堪えて集中する。


 「何故とは……聞いても仕方がないが大方、原因は陛下の事であろう。無論あなた様の苦悩にもっと寄り添えられなかった我々にも責任はある。」


昌景は老兵に対して説得を試みるつもりだがどうせ無理だろうと思っていた。もう既に話し合いでは解決できる様な状況では無くなってしまった為。


 「いつから、気づいていたのだ?その様子だとお主一人のようだが…まさか一人でワシを止めれると思っているのか?」


老兵の一言、一言が重りのように体にのしかかってくる。歴戦の戦士しか出せない威圧に武臣と言われた昌景も背中に走る悪寒を必死に耐えるしかなかった。


 「まさかとは、思っていたが本当にやるとは思っても見なかった。今ならまだ間に合うかもしれんどうだもうやめないか?老弦。」


「ありがたい事だがもう、ワシはやめるつもりは無い。このまま帝国を滅ぼすつもりで動いているんだぞ?今更戻る事など虫が良すぎるではないか?」


老兵は、口元を歪め不敵な笑みをこぼす。だが昌景からしてみれば哀れな老人の本心なのかもしれないと既に動いてしまった物は止めることはできないともうあの頃には戻りたくても戻れないそう訴えてる様に見えてしかたがなかった。


 黒いコートからゆっくりと古びた太刀がこちらを覗いている。


 その瞬間自分の首筋に冷たいものを感じ、一気に飛び退く。


 飛び退いた場所のちょうど首筋の場所だろうか、近くにあった宝物庫に高価な陶器が一斉に割れて崩れていく。


 「どうやら本当に戻る気はないのだな?」


これが彼の答えであった。こちらを殺す気でいるようだ。さっきのは警告なのだろうが次は外さないであろうと昌景自身確信してしまう。



 「どのみち戻った所で変わることはないのであろう。それともこの現状を見過ごせというのではないであろうな?」


大太刀をこちらに向けながら老弦は、こちらを睨んでくる。


 (「現状か。しかしその事については…。」)


昌景は、一瞬だけ考える事に力を注いだ。だが目の前の奴とって絶好のチャンスであった。


 不意に、視界から老人の姿が無くなる。


「!?」


もはや衝動的に刀を抜き咄嗟に防御の態勢をとったことが功を奏した。

 

 ガギィン!!、と金属同士がぶつかる嫌な音共に腕を折る勢いの衝撃が走る。

「(この一撃は……!?。)」


即座に衝撃を受け流し、数メートル程距離をとり腕の状態を、確認する。折れてはいなかったがかなりの激痛が走った為、昌景は痛みに耐えながら状況を整理する。



 「(本当に殺すつもりで打ってきているな!だがこの力は一体?)」


この老兵のことを知っている、昌景は疑念を抱いてしまう、それは昔から知っているからであり、何度も手合わせしているからでもあるからだ。


 「まさか、もうすでに鎧を…」


かえってくる言葉はなく、次の二撃目がすぐに飛んでくる。その動きは狩りをするハンターの様な手慣れている感じでとても還暦を迎える男の動きではなかった。


 ふりかかる凶刃を、タイミングよくかわそうとするが、不意に何かが右肩に触れ思い切りのけぞってしまい、そのまま刃を受け止める形になってしまい困惑の表情を浮かべなんとか受け流すことにせいこうする。


 「流石に武臣と名乗るだけの事はあるか、しぶとい普通ならあれで終わっているのだからな。」


「よく、言いますな。その歳でそこまで動けるようになられているとは知りませんでしたぞ。」


ダメージを受けた右肩を確かめながら昌景は少しでも時間を稼ぐ為に口を動かす。少しでも老弦の情報が欲しい為だ。


 (「折れてはいない様だが…次食らえば右手は動かせないだろうな…。」)


 今のところ致命的なダメージは受けていないがどちらにしろ不利なのは昌景なのは変わりは無い。彼自身ここまで手傷を受けるとは思ってもいなかった為であるのとまだ迷っていたのだ。かつての友に刃を向ける事に。


 事実、昌景からは一撃を加える動きはしていないほぼ、受け止める為の動きしかしていない。


 「もう、すでに鎧はきてしまっておられるのかな?」


右肩に走る激痛を悟られない為にもあるが核心的問いを老弦にぶつける。

 

 「なにかと思えば、そんな事か。まぁそうだなたしかにきているさ。だが勘違いするな、ワシはまだこの鎧を使っていない。素の状態で貴様と闘っているのだからな。」


「なっ!?、まさか今までの老いてしまったと嘆いていたのは!?」


あまりの衝撃的な事に、昌景は冷静さを忘れ動揺してしまう、いつもの堅苦しい口調が崩れてしまう程に。


 対して、そんな昌景を見て老弦は不敵な笑みを浮かべながら追い討ちをかける。


 「何も、隠していた訳ではない。用は感覚の違いよ。お前さんのいう、老いの意味が違っていたのかもしれんな。たしかにワシは弱くなった。だがそれは若い頃に比べたらの話で、勝手に理解したつもりでいたのはお前さんたちの方だ。」


 「全く、食えない男だな。某達を謀るとは…この昌景不覚を取った。」


全てはこの状況を作る為の罠なのかもしれなかったのだろう。昌景自身油断はしていなかったが、心の奥底で老弦を甘く見てしまっだ。だからこそ昌景一人で彼を止めようと思ったのだ。


 (「助けを求めたくても…無理そうだな。」)


 ここに一人できてしまったせいで、昌景に勝ち目は無かったのかもしれない。おそらく今の相手は自分以上の強さがあると肌で感じてしまう。


 「全く、武臣とはよく言ったものだ。勝手にそう呼ばれているだけだが。この異名も返上しなければならない。」


 自嘲気味に昌景はぼやいてしまう。すでに逃げる事は叶わないだがこのまま黙って勝ちを譲ってやるつもりも無いなによりも。


 「久方ぶりの強敵だな。この歳になって某の心を激らせてくれる御仁が現れるとはな。」


冷静だが、少しずつ強敵とやり合える高揚感が優ってしまったのだろう。昌景の語気がやや強めになると同時に。彼は古ぼけた刀を抜いた瞬間一気に距離を詰める。


 まさに脱兎のごとくいう速さで放たれた二振りの太刀を老弦は澄まし顔で弾く。


 「ッ!」


「(防がれるか、なら仕方ない。ここからは一気にたたみかせてもらうとする!!」


弾かれた態勢を立て直し昌景は続けて太刀を振るい続ける。一合、二合と刃がぶつかる度に火花が散り始めその中で舞でも踊るかのように昌景は渾身の剣技を振るう。


 二人は何も語らず、ただひたすら刀を合わせる。弾かれたらすぐに態勢を整えてすぐに斬りかかるそれの繰り返す。だが先に疲れが見え始めたのが昌景のほうだった。


 くらりと視界が一瞬ボケてしまい、動きを止めてしまった。


 瞬間腹に衝撃がはしり数メートル水切りの様に何回か跳ねながら、飛ばされてしまう。



傷ついた体を起こすと同時に首筋に寒気がはしり一気に体をかがめむと同時にさっきまで首があった場所の所を刀が通る。


 すかさず、反撃に移るがすでに相手は距離をとっており、こちらの動きを伺っている。


 そのまま一気に距離を詰め右手の愛刀で全力で斜めに斬りつける。


 キィン!と甲高い音を上げると手に振った勢いと同じぐらいの負荷が返ってきている感じがする。どうやら先ほどの全力を返されたばかりか押し負けてしまっていたようだった。


 そこからすかさず、上段からの一撃が振り下ろされる。昌景はすぐに刀で受け流す態勢をとる。


 ガン!っとさっきの甲高い音とは違い鈍い音が返ってくる。片手で振る一撃に昌景は押されている事に少ししてから気づくのだがもう遅かった。


 そこから続け様に横なぎ、斜め下からの振り上げなどの思い一撃が飛んでくる。どれも昌景が受け流すタイミングをずらすような一撃で。なんとか対応するのだが受け流す事ができなかった負荷は刀にかかりそして…。


 刀が限界を迎える。


 音もなく、ゆっくりと力なく刀身の半分が落ちていく。もうこれ以上は無理だと根を上げ諦めてしまったかの様にだ。


 「(すまん。)」


限界を迎えた愛刀に対して顔を曇らせてしまう。かれこれ何十年生涯を共にしてきた刀の最後にやるせなくなる。



 「(だが、ここで某が退く事は許されない。帝国を守る為……なにより彼の友として止める為にも!)」



 傷は負っていないがすでに息が上がっている、相手は自分より歳上のハズなのに、それもそのはず彼はまだ全力出していなかったからだ。


 「大した者だよ昌景、ワシの太刀をここまで受け切ることができてかつ無傷でいるとは…まるで先代の皇帝を見る様だ。もっとも先代は私よりも強いお方であったから仕方ないのだがな。」



「それはありがたい限りですな。もはや武臣といられている名を捨てなければならないと思っておりましたが、これで面目がたちます。」


呼吸を整えながら昌景はもう一本の古びた刀に視線を向ける。今でも使う事にためらってしまうこの骨董品の真の能力を解放する事に。



 「(だが、これを使うことは…つまり。)」


迷ってしまう、たしかにこれを使えば勝てるかもしれないがその後にくる何かに備えることが果たしてできるかどうか、ここを凌いだところで後の事は誰に任せるかなにより……。



    この刀を誰に継がせるのか?


 まだ何も決めていない、考えていても仕方なかった。相手は待っていてはくれない様だ。


 「さっきから、何を迷っているかは知らないが貴様の強さなどはっきり言えばあの頃…いや二代目様の時代に比べればとるに足らんよ。」


退屈そうに思い出にも浸るかの様に呟く老弦の言葉に昌景は動揺を隠せなかった。


 「どういう意味だ?、二代目の頃とは!?一体お前の歳は!?いやいつから大将軍の地位についていたのだ!?」


「まぁ、よいか。この世代の強者であり友であるお前にだけ話しておくか。まぁ簡単な話昔とある呪いを受けてな…この歳で本当なら若い時にでも受けたかったのだがね。」


 老弦は昔を懐かしむように喋り出す。まるで自分にとってはたわいのない事だと言わんばかりにそれが人の理から外れていようとも知らずに。



 「まぁ、そのおかげで身体能力は老いたままの不死の老人ができてしまった訳だ。後は身分を隠してしばらくは剣豪として趣味を謳歌していた所を先代に誘われ再び宮使いになったのだ。」



「あり得ない!?、そんな化け物がこの世に存在するとは思いもしなかったぞ。」


話を聞いて昌景は笑いそうになる。まるでおとぎ話を聞いているようだったからだつまる所相手は帝国の建国期から生きている、歴史の生き証人だ。超えてきた死線が違うのだろう、それを相手に例え本気でなくても闘えた事に昌景の心は踊っている。



 「だが、もうそれ以上はお前から望む事はできないであろうな……友よ。」


老弦は、飽きたおもちゃでも見るような目で昌景を見た後居合の構えをとる。その顔には寂しそうに見えた気がしたのだが今の昌景には彼の表情から察せられなかった。


 瞬間一気に間合いを詰めて渾身の一刀を昌景の肩から一息に切り伏せる為に放つ。受ければ即死するであろう一撃を受け、血飛沫を上げて倒れるであろうと。


  ギィン!?と金属同士がぶつかり擦れ合うような不快な音が決して広くない宝物庫で響く。

 

 昌景は血飛沫を上げて倒れてはおらず、むしろ逆で老弦の刀を弾いていた。正確には弾き追っていたのだ。


 「なっ!?」


決して防ぐことが出来ない筈だと確信していたのか。老弦がこの闘いで初めて苦しそうな表情に歪むみ昌景が持っている刀を睨む。その刀は使い古されたただの古刀に見えたが、刀身から黒い炎のようなものが溢れるように刀を包み始める。


 「まさか!?、その刀は……昌景。」


驚きつつ、平静を保っている老弦だがその額から汗が出ている。この老兵は知っているのだ。かつての大戦でいかにして帝国が勝ったのかをその凄惨な戦況を、もう目にする事は叶わないと思っていたのだから。


 「(まぁ、この為にこの鎧を奪ったのだが…、この何百年継承者がいたとか聞いていなかったがあのタヌキ陛下め……曲がりなりにも頭は回っていたようだな。)」


 歯噛みする老弦を余所に、昌景は宝物庫の扉に向けて刀を振ると刀身にまとわりついていた炎がそのまま生き物かのように蠢き扉の方にへと向かい扉に勢いよくぶつかると。


 何かが爆発するような音を立てて無惨にも扉は形を失ってしまう。


 

 同時に、昌景は一気に壊れた扉の方へ向かい一気に外へと出る。すかさず老弦を追いかけるがすでにそこには。


 数十名の近衛兵がいたのだ。それをどれも黒い大鎧を着た武者たちが槍や刀、弓を構えてこちらを見据えている。誰もかれも動揺するそぶりを見せずにいる。


 「まさか、罠に嵌められていたのはワシの方だったのか?初めからワシが来ると見越していた訳ではあるまいに。」


囲まれている状況でも老弦は冷静であった。まるで意味がないといわんばかりだ。


 「何、根室に頼んでおいたのだ。某がもし早く出てこなかった場合は精鋭を率いてここで待機してもらうような。おかげである程度は有利になるであろうとおもうが。」


近くにいる、根室の肩に手を置く。根室はゆっくり昌景の方に振り向くがその顔は平静なく。この状況を一番憂いる。特に彼の目から離れないのは昌景が持っていれ刀に対して恐れている。


 「昌景様、やはり抜かれたのですな。」


「あぁ、すまんな。あとここからは某でもどうにかできるか分からん。何せ相手は何百年と生きている化け物でまだ、あの鎧の能力を解放していない。こっちは解放している有様だ。実力差は歴然、逃げるのも手であるが?」


後ろを振り返ると、精鋭達の後ろにいる、部外者の門兵達はすでに姿がみえない。おそらく逃げたのであろう。ここで逃げる選択肢をしても良いと暗に昌景は告げている。


 だが返ってきたのは、後ろめいた提案をする昌景に対して根室は鼻で笑う事で答えを出す。


 「ここまで来てしまいましたから、最後までお供しますぞ。それにその刀を抜く事はもう覚悟なされているようですからな。我々一同はあなた様に救われた身であります。」


一度言葉を切り、根室は刀を抜く。その持ち手や鞘は長い事使われていたのか、ボロボロに廃れていたのだが、刀身だけが磨き上げられたかのように輝きを放ち、眼前の敵に刃を向ける。周りの兵達も合わせるように臨戦態勢をとり、もはや一触即発の雰囲気をかもしだす。

 


「それに、若様には立派なお仲間がおられるようですしな。この老いぼれが入る隙間はございませんよ。あなた以上の武人になるでしょうな。」


「そうか……、そう言ってもらえるなら某も安心してこの一戦に挑める!?」


 刀身がさらに炎を放ち燃え上がり始める、次第にまわりの空気は乾き始め、炎が渦を巻いて昌景の周りを囲む。その姿は竜の様に見え、刀を振る方向に合わせて炎が動き、右に振れば右へ左に振れば左へと生き物かのように動く。


ある程度動かしてから、相手めがけて刀を振ると斬撃の形をした刃が老弦の方に飛んでくるのと少し遅れてから炎の波が地面を焦がしながら足元を燃やしにくる。


 「ふむ、流石にマズイかもしれんな。」


焦りもせず、淡々とつぶやいてから老弦は先程宝物庫からてに入れていた。片鎌がついたやりを片手で思い切り振り回した。振り回した時に出た、風圧を使い迫りくる炎と斬撃を同時に防ぐ。


「(やはり、この程度の一撃ではどうにもならんようだな……ならば!?)」


何かを決めた昌景の顔に、根室の顔に暗い影ができてしまう。これから彼が行う事を知っている為であるから、そして自分には止める事ができない為だ。だからこそ、この老人を含めた精鋭達は見送る事にした。最後の彼の勇姿を目に焼き付ける為に、これから最後になるであろう口上を聞く事になろうと。

 

 




「我が名、帝名太刀花昌景の名において解放いたしまする。「始焔」よ!某を吸い殺しても良い!奴に勝てる力を与えてくれたまえ!!」



 瞬間一気に、刀身に炎が集まり一際大きい刀と成り果てる。今度は昌景の周りに炎が現れ歩くたびに炎は広がっていく。


 「ここでお前を止めてみせる!!それが友である某の役目であり、この先生きる若者達に背負わせるわけにはいかん!いざ押して参る!!」


「フン!、どうやら何か波長が合う奴と思っておったが、あの太刀花の子孫だったとはな!それに部下に根室とはな!全く因果なものだな!」


昌景の覚悟に応える様に槍と刀を構え直し一気に距離を詰める。


 互いに刀をぶつけ合う。


 激しい金属音と共に後から衝撃波が根室達を襲い、何人かは数メートル吹き飛ばされていく。


   もはや二人を止める事は叶わない。ここからは血で血を争う達人同士の一騎打ちとなるであろうと。例え、己の命を燃やし尽くそうとも昌景は立ち向かうであろう。そこに理由はないであろう、唯彼の友だからと彼は言ってのけるであろう。


  






 



 



 









 


 

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