チー牛

 チー牛って言葉を考えたヤツ、手ぇあげなさい。先生、怒らないから。


 お前らさぁ、どんだけ定食屋に迷惑かけんだよ。


 これはチー牛とメスガキの話。



「四色チーズ牛丼大盛り。温玉もつけてください」


 いつもの定食屋でお気に入りのメニューを注文する俺。


 今は22時、よい子は寝る時間だ。


 残業に疲れ、家で自炊する気力体力はないので、外食ですます。よく転がってる話だ。


 店内には、俺の右斜め前、少し離れた席に少女が一人。スマホをずっとイジってる。こんな時間に出歩くなんて、けしからんな。


 店員はワンオペだ。こんな時間だしこんなもんだろう。


 やがて注文してたモノが運ばれてきた。俺はルンルンで割り箸を割った。


 そんな時――


「うわ。マジでチー牛っているんだ……。都市伝説だと思ってた」


 少女――メスガキがそうのたまった。俺は最初意味がわからず、なんとなくメスガキをチラ見して食事を進めた。


 なぜか店員もこちらを見て笑っている。感じ悪いな……。


「チーズ牛丼うめぇ! やっぱコレだわぁ」


 気まずくなると独り言をつぶやいてしまうのは俺の悪い癖だ。


「陰キャってこれだから……」


 『ふぅ』と大袈裟にため息をつき、メスガキは勘定を済ませ店を去って行った。


――朝起きたら、枕がびっしょりしていた。俺、夜中に泣いちゃったみたい。

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