第47話 ダンジョン2
実際にアイテムを落とすのを見ると私も倒したくなり気持ちがはやる。
発見された下級回復薬は教官が保管箱へ仕舞った。
今回発見されたアイテムは全て国の持ち物となるからだ。
排除が終わると、荷物を持たない自衛官が素早く動き、何やら計測が行われ、地面に何やら書きこみがされる。
それが終わると今度は荷ほどきをし、書きこみを行った場所に天幕を1セットごと置いていく。
次は荷卸しをし手の空いた自衛隊の人と共に業務用天幕を設営していった。
それとは別に救護用の天幕や業務用天幕も設営された。
時刻はまだ10時過ぎ。
自衛隊の人たちは昼食の準備と検証に別れる。
今回行われる検証は無線のアンテナ基台の設置、外との通信が可能かどうか、階層別の通信が可能か検証するらしい。
私たちはこの階のスライム狩りだ。
リポップ時間の有無や地図の細部の書き込み、迷子防止の蛍光塗料の目印の設置、アイテム収集なんかを行う。
私たちは3人1組に分かれた。
それをさらに上り階段に側に3組、下り階段側に3組配置され行動を開始した。
残り2名は拠点待機となる。
私の組は五十嵐と葵、前回鎮圧に赴いた2人と一緒で下り階段方面担当だ。
皇葵は私と同い年で違う大学に通う大学3年生だ。
私よりも背が低く、ミディアムロングの黒髪を後ろで三つ編みに結っている。
冷静で場の状況把握が早い。 魔法が好きで暇を見ては水魔法の練習をしている。
今日はダンジョンに入ると言う事もあり魔力を温存している。
分かれ道で別れ今は私達3人で行動する。
「スライム発見、とうっ」
踏みつぶして倒す。
残念、アイテムは出なかった。
「スライムだらけだな」
「ダンジョン経験者が何を言う」
「2階は初だ」
「……スライム可愛い。 えい」
葵がお手製の杖でスライムを叩く。
スライムは光になって消えていった。
堅苦しい部隊と離れ、二人とも少し緊張が緩んだようだ。
ダンジョン内で緩むってどうなのかと思うが。
私も人のこと言えないけどね。
「にしてもダンジョン広いねー。 2階でこれか」
歩き回って数十分行き止まりの前には矢印と×印を蛍光塗料で記す。
「これって消えないのか? これ普通のインクだろ?」
「さぁ、これも検証の一つでしょ。 残ったらラッキー残らなかったら違う手を考えるだけじゃん」
「そうだけどな」
どうやら五十嵐がもったいない精神に取りつかれたようだ。
確かに消えるのなら勿体ないけどね。
「検証他なにする?」
「確か……」
今回の検証は自衛隊の方はダンジョン内の情報通信機器の設置、運用可能かどうかの検証。
退去後に物をいくつか置き……気温計や湿度計を設置、それを記録しておくカメラも設置。
ついでにスライムが反応するかどうかの検証も行う。
時間の進みについては外と中と変化なしという結果が出てる。
私たちは今は自由に討伐。
下りたら経験値の配分について検証。
スライムだと上がりにくくなっちゃったからね。
パーティーを組んで経験値が入るのか、それとも倒した一人に経験値が入るのかを検証。
その際、壁の強度、また壁が小説のように再生するのか、再生するとしたら時間はどれくらいかかるのか、物置いていたら巻き込まれるのか、それともそのまま押し出されるのか。
羽ウサギはカメラに反応するのか、置いておいたら壊されるのかも併せて検証する。
今回はこんなもん。
何せ2泊3日だからね。
ダンジョン攻略の本番はまだ先。
どこまで力が通じるのか楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます