第7話 「帰らされた・サウジ王」

サウジ王が属するベニヤ族は、12部族の中で弱小の一族であり、これまで他部族との戦いにおいて、決して良い戦果を出す事はできないでいた。

それだけに預言者サムルが何故?彼を王として任命したのか・・12部族の族長達は、納得が行かず、サウジは王として認められない時期が長くあった。


サウジ王自身も、自分には力がなく、何故?サムルが自分を王に任命したのか・・理解できておらず、常に預言者サムルに助言を求めて、王政を執り行っていた。


「預言者サムル様!

ペリシテ国2万の大軍が我が国に迫ってきてるようです!

どのような戦いをすれば良いでしょうか?」


「サウジ王よ!

12部族より、20歳を超える成人男性を集結させよ!」

サウジ王は、預言者サムルの命令通り、各部族より成人男性2万人を集結させた。



「さぁ!これよりペリシテ国2万の大軍と戦う前に

戦いに出る者を選別する必要がある!

敵2万人に対して、我々は同数の2万であるが、ペリシテ国の軍隊は強固であり、強者ぞろいである!本来なら同数で戦っても、勝てる見込みのない敵である。しかし起源の主からの誓いにより、お前達に問う事がある!!

今回の戦いに対して、恐れを抱く者は、一族の元に帰るが良い!!」


「預言者サムル様!何を言い出すのですか?

せっかく集まってくれた戦士たちに帰れと言うのですか?」


「その通りだ!

戦いに対して、恐れを抱く者は、戦いに相応しくはない!!

サウジ王よ!!とにかく私の指示通り、全体に告げるのだ!!良いな!!!」


「分かりました・・・」

サウジ王は、預言者サムルの命令通り、戦いに恐れを抱く者達を帰らせた。

すると半数の1万しか残らなかった。


「まだ多すぎる!!

サウジ王よ!!戦士たちに告げよ!

アカバ湖の水を飲み、疲れを癒すが良い。

戦士たちの中で湖に膝をつき、両手で水をすくった者以外家に帰すが良い! 」


サウジ王は、預言者サムルの命じた通りにすると、さらに半数が一族の元に帰らされた。


「一体どういう事ですか?

敵2万に対して、我々アブラハ軍はたったの5千人に減ってしまったではありませんか?」


「サウジ王よ!心配する事はなない。起源の主が我らの先に立ち

敵を倒してくれるだろう!!それから・・まだ1人恐れを抱く者が混じっているようだ・・」


「誰ですか?」


「サウジ王!あなただ!!

王よ!あなたは、アブラハ族の初代国王として選ばれたにも関わらず

何故?起源の主を信頼せず、敵軍に恐れを抱いていのか?

今回の戦いに、あなたは参加する事は叶わない・・一族の元に帰るがよい!!」


「預言者サムル様・・何という事を?

王である私が戦いに出ないで・・アブラハ国民に面目が立ちません・・」


「サウジ王よ!!

あなたは、まだ王として相応しくはない・・一族の元に帰り、起源の主に祈るが良い!!」

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