第4話
お二人から聞いた作戦は以下であった。
まず、お二人のみ商人を装って先に潜り込むとのこと。最悪、怪しまれた時に、言い逃れできるように、武器と防具の類は持ち込まぬと。
次に、王都内におる間諜と接触する。そして、とりあえず、ありものの武器・防具で良いから調達させる。
また酒を大量に購入させるとのこと。そして毎日、王都の各城門の衛兵へ、酒を振る舞う。
寒い中、城門の護衛ご苦労様ですとの言葉でも添えれば、たいして疑われることもあるまいと。あるいは、疑っておったとしても、毎日、続ければ気もゆるむ。
更にはこの寒さだ。体を温めるために、呑兵衛でなくとも酒が欲しくなる。
呑兵衛って、私のこと?
そして、騎馬軍は待機し、決行の日に、我らが内から城門のいずれかを開けるゆえ、そこより入れと。その際に、我らの愛用の武器・防具も持って来てくれと。どの門にするかは、最終的な決行の日時と共に、追って間諜により報せるとのこと。
これが最もこちらの犠牲を少なくできる方法であり、また既に城門が破られたと知れば、守備に付く近衛隊の士気を容易にくじくことができようと。
私は護衛として付された千人隊と共に、王城から離れた林の中に留まった。ラクダの隊商が半日ほどで進む距離とのことであった。私はそんなに護衛は必要ないと抵抗したが、
「エリザベト様のことに不安を抱えながらでは、かえって、我らの行動にさしさわりがあります。どうか我らのためと想いなして、お受け入れください」
そう、ゴリねえにさとされては、引き下がらざるを得なかった。
私はお二人が、王都制圧に赴く前に、次の如く告げておった。
「王太子を含め王族は殺さぬこと。捕らえた後は、平民には落とすけど、命までは奪わない。恩赦を与えるつもりなの」
殺すより、監視下に置いた方が、乙女ゲームの動きを先取りできると考えたのであった。
現時点。
お二人は、既に王城に潜り込むべく出発しており、不在であった。残り9千人隊は、我らと共に、決行日及び侵入門の連絡を待っておる。
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