第3章 軍略家 新谷 百花(しんたに ももか)

第1話 孫子様ってすごい

 そして私が考える際に、1つ導きになるものがあった。


 孫子様である。


 繰り返しになるが、『敵を知り己を知れば、百戦あやうからず』の1句しか知らない。(注1)


 ただ私の場合、それで十分であった。


 たくさんあったら、それはそれで、アホウの私には困りもの。


 それに何より、この1句に私の状況の全てが表されておった。


 2千年?うーん。良く知らない。それくらい前の人なのに、さすがに孫子様である。


 敵・・・・・・これは当然乙女ゲーム。


 己・・・・・・普通なら、これは私のことで、これを理解するのは、一見、簡単に想える。


 しかし、転移後の私の場合、『私+エリザベト』である!


 しかもエリザベトの記憶はないのである!


 だから、むずかしいのである!


 いかん。いかん。


 また『である連呼』をしそうになってた。


 でも、すごいでしょ。孫子様って。


 まるで、私のためにある1句。


 そして、どう?


 これなら、私、孫子様に私淑する軍略家を名乗ってもいいよね。



(注1 やはり繰り返しになるが、正しくは『彼を知り己を知れば、』である。

 主人公のうろ覚えである)

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