6話 聖戦

 前回までのあらすじ!


 屋上でどうしても全裸になりたい、露出性癖持ちの裸族であるらら先輩!


 俺たちは、らら先輩を屋上で全裸にするために、綿密に計画を練り上げ、二人で屋上を目指していた!


 屋上まであと一歩と迫る俺たち!


 しかし、屋上への扉の前で、派手な二人の生徒が、ナニをしていた!


 一体どうすればいい!?


 俺は必死に頭を働かせる。


 とりあえす、あの二人を動かすことができたらミッション成功というわけだ。


 ただ、先生や、他の生徒にちくるようなことはしたくない。


 なぜなら、らら先輩だって、これから屋上で全裸になろうとしている。


 学校でナニしている二人を責める権利は、俺たちにはない!


 とすれば、どうすればいい?


「上の方からなんか声が聞こえないか?」


 と二人に聞こえるようにわざとらしく会話をして、少しこの場から離れてみるか……?


 そうすれば、二人の危機感を煽り、そこから動こうとしないだろうか。


 ただ、この作戦で困るのは、二人が警戒して余計に屋上の扉前で籠られることだ。


 直接注意に行くことはできないから、二人は誰かに目撃されないように慎重になるか可能性がある。


(これは、最終手段だな……)


 他にも何か案はないだろうか。


(らら先輩は、何か思いつきませんか……?)


 俺はひそひそ声でらら先輩に話す。


(む、難しいですね……せっかくお二人で気持ちよさそうなことをされているのに、邪魔してしまうのは、罪悪感を覚えます……)


(らら先輩……)


 こんな状況で、二人のことを考えてあげられるか。


 やっぱり、らら先輩はやさしい。


(私も、全裸になっているときに、誰かに邪魔されたらと思うと……お二人の気持ちがわかるような気がします……)  


 前言撤回。らら先輩は変態でした!


(早く終わってくれたらいんですけどね……はっ!)


 俺はそう口にしてあることに気づく。


 そうか、早く終わらせればいいんだ。


(らら先輩、思いつきました。二人の行為を邪魔することなく、あの場から離れさせる方法を)


(……! 大神さん、それは……一体……!)


(文字通りに、早く終わらせればいんです。つまり、男を果てさせます)


 俺は一体、真剣な顔で何を言っているんだろうか。


(な、なるほど……! さすがです大神さん!)


 俺のことをきらきらした目で見るらら先輩。その反応もどこかおかしいと思う。


(ですが、一体どうやって果てさせるんですか……?)


(俺に考えがあります。一度、ここから退散しましょう)


(……?)


 らら先輩は不思議そうに首を傾げながらも、俺の指示に従い階段を下る。


 少し、横目に物寂しそうに屋上を見つめていたが、いまは我慢してもらいたい。


 俺がらら先輩を案内したのは、生徒会室の隣にある倉庫部屋だ。


 この場所は以前、らら先輩の全裸と初めて邂逅したときに、次にらら先輩が生徒会室で全裸になるときに、この場所で見張っていましょうかと提案した場所だ。


 特別利用されることもないこの部屋。


 実は俺は過去に何度か、『ゲート・ブレイクアウト』(※鍵を開けること)で、侵入したことがあった。


 その場所でラノベを読んでいた俺は、ふと、この部屋に何が置いてあるのか、調べてみたことがあった。


 生徒会業務に使う備品等がたくさんしまってある傍ら、俺は、隅の隅、本当に気を付けないと見つからいない場所に隠されていた、ある物を見つけた。


「これは……!」


黒いビニール袋に入っているそれを見て、俺は戦慄したことを、いまでも鮮明に覚えている。


「一体、何が入っているんですか……?」


 生徒会室に侵入したらら先輩は、俺が倉庫部屋から持ってきた黒いビニール袋を見て、可愛く首を傾げる。


「先代から、ずっと受け継がれてきたの物なのか、生徒から没収した物なのか、俺にはわかりません。それでも、いま、俺たちにはこれが必要なんです!」


「……! はい!」


「何が入っていても、他言無用ですよ? これがもし、先代から、受け継がれていたものだとすれば……俺たちも、未来に引き継いでいかなければならない物なのですから……!」


「わかりました! 誰にも言いません!」


 俺の熱い言動に、思わずらら先輩は頷く。


「いきますよ? これで、あの男を果てさせます!」


「……!」


 ビニール袋に入っていた物を机の上に並べる。


 思わず、らら先輩が息を飲んだことがわかった。


「そんな、そんなことって……!」


 きっと、ことの重要性に気づいたんだろう。


 机の上に並べられたもの、ローション、ムチ、××、エトセトラエトセトラ……


 所謂、その、うん。グッズだったのだ。誰かを果てさせるための!


 聖戦が、始まろうとしていた。



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