第155話 福岡遠征前日・前編
※※※ 前書きです。本編とは全く関係ありません※※※
いつもご拝読していただきありがとうございます。
お知らせです。昨日近況ノートに載せましたが、なろう様に投稿していたお話を超えることが出来ましたので、今更ながら元のタイトルから【改訂版】を取りました。
次のお知らせです。福岡遠征前日の話を一気に書いたら、一万字弱の文字数になってしまいました。区切りの良い所でどう切り取っても一話が五千字を超えてしまう回が出来てしまいます。これは私のポリシーに反しますから、泣く泣く前編・中編・後編に分けました。決してストックが少なくて困っているからではないですからね。………まあストックはほとんどないんですけどね。
今話もお楽しみいただけると幸いです。
亘善
※※※
「起きてからふと思ったんだが、魔力ポーションは大丈夫なのか?」
緊急クラン会議の翌日の朝食時に、正輝がうちのクランにとっての生命線ともいえる事に気づいてくれた。確かに長期の探索では全然足りないぞ。
「今日、岡山ダンジョンに行くしかないよな。魔力ポーションはうちも売らないから在庫もないだろう。探索で得るしかないな、どうしようか?」
「こればかりは麟瞳が探索しないと効率的に得ることが出来ないぞ」
「そうだよね………でも、京都の用事も今日中にしておかないといけないんだよね。午前中に京都の用事を終わらせて、午後から岡山ダンジョンを探索しようかな。正輝は午前中に用事を終わらせることは出来るか?」
「食材の買い出しだから、大丈夫だと思うぞ」
「オレも一緒に行くぞ」
「私も行きたいっす」
「いや、高速で探索しようと思うから二人の方が都合がいいんだ。皐月と詩音は予定通り家具や寝具と家電をお願いするよ。美姫が午後から合流できそうだし、クランハウスに持ち帰ってくれるとありがたい。たしか軽トラを貸し出してくれるサービスがあったと思うよ」
「それなんっすけど、私の【アイテムボックス】スキルが魔力が増えた為か容量が爆上がりしたっす。多分全部入れることが出来そうな気がするっす。探索の件は、渋々了解っす」
「まあすぐに福岡ダンジョンを嫌というほど探索できるよ。収納は助かるよ、お願いね」
「そうだな、福岡ダンジョンは今から楽しみだぜ!」
朝食が終わるとそれぞれのグループに別れて動き出す。まだお店の開いてないグループは買う物の確認と自分の遠征の為の準備を、食材買い出し組は車で24時間スーパーへと出かけて行った。僕の母さんには朝から料理をしてもらう、手持ちのダンジョン食材は出しておいた。橘父さんもすぐに合流してくれるらしい。そして僕も繋ぐ札のドアを通って京都へと向かった。
先に大恩人の大家さんに話を聞いてもらう為、永久拠点へと向かった。朝早くから庭の草取りをしてくれている。
「おはようございます。朝からご苦労様です。本当にありがとうございます」
「おおー麟瞳君、おはよう。君も朝早くから一人でどうしたんだい?」
「ちょっとお願いがありまして、お話させていただいても良いですか?」
「ああ、うちに来ないか?冷たいものでも出すよ」
お隣りの大家さんの家で話を聞いてもらう。ダンジョン産の果物をお土産として渡しておく。これでダンジョン産の果物はほとんどなくなってしまった。これも補充しておきたいがもう無理だよね、残念。
「話というのは何かな?」
「ええっとですね、又貸しみたいになって申し訳ないんですけど、ここをダンジョン探索者クランの《Black-Red ワルキューレ》さんに貸したいんです。《Black-Red ワルキューレ》さんにはとてもお世話になっていて、力になりたいんですよね。許可をいただけないでしょうか?」
「なんだそんなことか?何を言われるかと身構えてしまったよ。あの有名な《Black-Red ワルキューレ》なんだよね。で、麟瞳君も信用しているんだろ。だったら問題ないよ。もしも問題行動をするようなら注意をしたり、出て行ってもらうかもしれないけどね」
「そういったことが無いように、クランマスターからしっかりと注意はしてもらいます。ありがとうございます」
少し話をしてからおいとました。おばあさんはずっとニコニコして話を聞いてくれていた。二人ともいつも優しくしてくれて癒されるよ。最後には、また顔を見せに来てねと言ってもらった。
よし、次は今の拠点の解約に向かおう。少し時間を使ってしまったから、急いで移動した。まずは家の中をチェックして持ち込んだ物をすべて収納していった。岡山のクランハウスで寝起きをしていたからほとんど物を置いてなくて楽だったよ。………ん、ちょっと待てよ。最後に一番大事な物を収納しようとして愕然としてしまった。このまま繋ぐ札を取ったら僕が岡山に帰れないぞ。新幹線で帰るにしても時間がかかる。岡山ダンジョンでの探索時間が少なくなるぞ。
「ただいま。ちょっと相談があるんだ」
困ったらクランメンバーを頼ることにする。困っている状況を説明する。
「京都には麟瞳さんが言ってた永久拠点があるじゃない、取りあえずそこに繋ぐ札を移したら良いと思うわ。それに明日は《Black-Red ワルキューレ》さんを迎えに行くんでしょ。大阪は岡山よりも京都の方が近いんだから、京都から迎えに行って、ついでに繋ぐ札を回収すれば良いんじゃない」
「真姫、お前は天才か?」
「麟瞳さんがおバカなだけよ」
またおバカと言われてしまったが、問題はあっさりと解決した。急いで京都に戻り手続き等に走り回った。
クランハウスに戻ると正輝と美姫が戻っていたので、まだ出かけていない皐月と詩音、そして皐月達の助っ人の桃、山吹と一緒にお昼御飯を食べる。
「そういえば、山吹だけまだ収納道具を持ってなかったよな」
「うーん、ボクは持ってないけど、遥も持ってないと思います」
「あれっ、そうだったかな?ちょうど二つあってよかったよ。昨日の会議の時に気づけば良かったんだけど、遅ればせながらこれを渡しておくから、長期遠征に向けての着替えや生活用品を入れておくと良いよ。遥にも渡しておいてね。色は山吹が好きな方を取れば良いんじゃないかな」
バトルスーツが出来るまでの間の岡山ダンジョンで得たマジックポーチを二人に渡しておくことにする。色はうぐいす色と黒、バトルスーツとの色合いを考えて山吹がうぐいす色を使うことになった。自動的に赤いバトルスーツを着る遥が黒色になる。戦隊ヒーローのリーダーにまた一歩近づいたねと妄想の中で一人納得していた。山吹はよほど嬉しかったのか、何度もお礼を言ってきたよ。
「どうした、桃?」
「ちょっと羨ましい」
「桃のリュック型の収納バックの方が断然性能が良いんだぞ。収納量は二十倍だし、時間経過も通常の三分の一の逸品だぞ。ゲスな話をすると皆のは買い取り価格が五百万円だが、桃のは三千万円だぞ」
「だよな、それが宝箱から出たときは興奮したよ。俺の魔法剣が出るまでは一番の高額マジックアイテムだったよな」
「えっ、三千万円。今更ドキドキ」
「リーダー、そういう大切なことは最初に言っておいて下さい。桃がビックリしてるじゃないですか」
「ゴメンゴメン、言うのを忘れていたよ。これからは気をつけないとな。この前もスキルの情報共有をパーティでちゃんとしろと、美紅さんに叱られたばかりだ」
料理は大量に出来上がっている。今できているものは僕と正輝の収納道具へと入れる。ここからあとは美姫に任せて、正輝と二人で岡山ダンジョンに車で向かった。
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