4章 『タイムマシン』ウェルズ著 を読んで  竹久優真

第11話 時間の錬金術 前編

『タイムマシン』ウェルズ著を読んで

                              竹久 優真



 ハーバード・ジョージ・ウェルズはジュール・ヴェルヌと並んで称されるSFの巨匠だ。名作『タイムマシン』のほかに『宇宙戦争』や『透明人間』など現在にも多く作品のモチーフとなり影響を与え続ける偉大な作家である。



 夏の放課後。丘の上の旧校舎の窓は開け放たれ、差し込む光と共に涼やかなそよ風が白いカーテンを揺らす。北米では素数ゼミが大量発生してうるさいと聞いているがここはいたって穏やかなものである。

 どこからか、軽やかなピアノの演奏が耳に届き安らいだ気持ちになれる。

 僕はセミの声が嫌いだ。昔は短命ではかないからと大目に見てやっていたが、本当はあいつら、七日どころか三週間から一か月くらい生きているという。これは夏の虫の中で別段短いというほどではない。なぜ、そんな誤解をしてしまっていたのか今でもよくわからない。

 漫画研究部の部長である、黙ってさえいれば麗しい栞さんが静かに漫画の原稿を描いている横で僕は昨日たまたま見つけた文芸部の文集を読んでいる。



『時間の錬金術


ゾウの時間ネズミの時間という話を知っているだろうか? どんな動物も二〇億回心臓を動かせば寿命が訪れるという話だ。

 まあ、人間で計算すれば大体五〇歳から六〇歳で死ぬことになる。

 現代でこそ医学も進み、その寿命を延ばしてきた人類ではあるが、近代以前で考えてみればおおよそこの数字は当てはまる。

 当然、体の小さいネズミは鼓動の速度は速いし、象は遅い。

つまりは人間も、鶏も、ネズミも、象も大体において二〇億回心臓を動かしたころに寿命がやってくるというわけだ。

 と、ここでもう一つ踏み入って考えてみよう。

 人間から見れば、ネズミや鶏はやたらにせわしなく動き回っているように見えるし、逆に象はえらくのんびりと過ごしているように見える。

 これに心臓の鼓動速度を当てはめてみると、心臓の早い生き物ほど早く動き回るし、心臓の鼓動の遅いものほどゆっくり動いている。


 さて、時間の流れは相対的なものであると言ったのはアインシュタインだということぐらいは誰だって知っているだろう。

 つまりは時間というものを心臓の鼓動という点において相対的に考えるなら、象にはゆっくり時間がながれ、鶏やネズミには早く時間が流れるということになる。

 だとすればネズミから見れば我々人間は、我々が象に対してのんびりしているように見えるのと同じようにのんびりしているように見えているのだろうし、象から見れば人間は、われわれが鶏に対して思うのと同じようにせわしなく動いているように見えるのだろう。

 そして、結局のところどの動物からしても一生という時間の長さに対する体感は同じくらいなのだということだ。


 陽炎の立つアスファルトの上を自転車で疾走し、汗にまみれた額をぬぐいながら夏休みの学校へ到着する。連日35度を超える猛暑日が続き、頭の中身はアイスクリームみたいに溶けてしまいそうだ。

夏休みだというのにもかかわらず、新校舎の中に入ればエアコンの効いた快適な空間となる。冷え過ぎた空調が短時間でしみ込んだ汗を冷たく冷やす。考えるまでもなく人類の文明は日進月歩衰えることを知らない。

 これほどまでに便利な世の中を知らずしてこの世を去った過去の人類には同情を感じるが、これから先、さらなる飛躍を遂げるであろう未来の文明の中で生きるであろう未来人に対しては深い羨望を感じる。


 俺はこっそりと理科実験室に侵入する。こっそりと合鍵を作っておいたのだ。

 実は俺は、人には言えない研究をしている。

 それは、効果絶大な媚薬を作るということだ。

 正直な話。俺はまるでモテない。決して外見が悪いだとか清潔さに欠けるということはないだろう。しかしまあ、なんと言おうか、言ってしまえば臆病なのだ。言いたいことも言えず教室の隅でいつもぶつぶつとつぶやいているだけのいわゆる陰キャだ。

 皆が、俺のことを快く思っていないことくらいわかっている。だけど、高校生ともなれば恋の一つくらいはしたいものだ。

 そしてたどり着いた結論が媚薬の生成である。

 それさえ完成すればこんな俺にも彼女ができるに違いない。

 反論や否定的な意見は一切認めない。


 あらゆる書物を読み解き、科学の知識を身につけてどうにかある程度のレシピを完成するところまではこぎつけたのだが、いかんせん材料が足りないのだ。

 何しろその材料の多くは身分証明書やら取り扱いの資格の必要なものが多く、高校二年生の俺が手に入れることなど到底できない。

 そして考え至ったのがそれらの揃う学校の理科実験室に侵入して薬品を拝借するというものである。

 手早く作業が行えるように一通りの材料を調合してペットボトルに入れてきた。何かあったときのために誤魔化しが効くよう、ごく一般的な市販の炭酸飲料のラベルの付いたものを用意した。出来上がりの色もおおよそそのようになると考えていたからだ。

 拝借する薬品の瓶を一通りテーブルの上に並べ、パラフィン紙を用意して予定通りに薬品を必要な量を取り出しながらパラフィン紙に乗せていく。

 作業はとても順調であともう少し手終わりそうになったところだ。

 最後の二つの薬品の瓶を同時に開けて計量しようとしたとき。


「あれ、先輩。 こんなところで何してるんですか?」


 突然かけられた声に思わず驚き、手に持っていた薬瓶を落としてしまった。二種類の薬品が計量されずにパラフィン紙の上にぶちまけられてしまう。

 慌てて瓶を起こし、声のほうに視線を送る。

 なぜか、そこには確か生徒会に所属していた後輩の女子の姿があった。

「ど、どうしてここに?」

「どうしてって、先輩を見かけたからです。さっきまで私、旧校舎のほうにいたんですけど外に出たら学校にやってくる先輩の姿が見えるじゃないですか。それでしばらく文芸部の部室で待っていたんですけどいつまでたっても来ないからこうして校内を探し回ってたんですよ」

 

 どうにも、まずいところを見られてしまったようだ。俺と彼女の所属する文芸部の部室は丘の上の旧校舎にあり、その場所からだと校内のいろいろなところまで見渡せる。

 この学園に向かう坂道を自転車で駆け上がる姿が見えていてもおかしくはないだろう。

 もし、こんなところで変なものを作っていることがばれてしまえば俺はただでは済まされないかもしれない。

 しかし、そこは不幸中の幸い。

 彼女はその時、眼鏡をかけていなかった。

 彼女は普段からヒドイ近視でメガネをかけていないとほとんど見えないのだということを知っていた。

「いやあ、この猛暑の中自転車をこいであの坂道を登ってきたら汗をかいてしまってね。それでちょっと涼んでいこうかなと思って」

 そんなくだらない言い訳をしながら俺は、彼女が近づく前にペットボトルとパラフィン紙をテーブルの下に隠し、こっそりと薬剤をペットボトルに流し入れた。一応媚薬は完成したはずである。

「ああ、わかります。旧校舎の部室にはエアコン、ないですもんね。ほんと汗かきますから」

「いやあ、まったくだよ」

 うまくごまかせたと安心した俺は迂闊にも手に持っていたペットボトルをテーブルの上に置いてしまった。

「ああ、いいの持ってますね。私にも一口ください」

 よほどその偽装したラベルの飲み物が好きだったのか、彼女は躊躇する様子もなくペットボトルを手に取った。


 ――間接キス。


 なんてスイートなことを考えている余裕なんかない。俺は慌ててその手からペットボトルを奪い取ると、証拠隠滅とばかりに一気に飲み干した。

 戸惑いがなかったと言えば嘘になるかもしれないが、少なくとも材料に口に含んではいけないものは入っていなかった。もとより、飲んで効果を発する薬だ。

 彼女は、そんな俺の行動をケチな奴だとか、あるいは怪しい行動だとか思ったかもしれない。しかし、そんなことを言っている場合でもない。

 一気に飲み干す俺を唖然とした目で見つめ、次の瞬間驚きと共に心配の目に代わった。

 胃の奥のほうで燃えるような違和感と痛みを覚えた俺はその場にうずくまる。

 駆け寄った彼女が俺の正面で前かがみになり、救いを求めるように彼女を見上げた瞬間。


 ――時間が止まった。


 駆け寄った彼女が不安を含んだ表情でしゃがみこもうと膝を折り、低くした姿勢に後れを取りながらふわりとたなびく黒髪が空中で放射線を描いた状態で動きを止めている。

 それを見上げる俺もまた、動きを止めていた。


 俺たちは、互いに見つめ合った状態で静止している。

 

 ただ動いているのは、俺の心臓だけだ。

 時間が止まっている中で、俺の心臓だけが信じられないほどの速度で早鐘を打ち続けている。


 しばらくは何が起きているのかわからなかったが、それは、正確に言えば時間がスローモーションとなっているに等しい状態だ。

 止まっていたと思える時間は、じっくりとよく見ていれば。少しずつではあるが重力によって流れていく動きを感じることはできる。


 走馬灯体験というものを聞いたことがある。人は死の瞬間。世界がスローモーションになり、それまで生きてきた人生を思い出すという話だ。

 しかし走馬灯体験というものは、自身の命が危険にさらされたときに、瞬時に脳が状況を判断。その中で生き残るための情報を少しでも多く集めようとするために意識が覚醒し、通常よりも時間を細かく分断しながら見渡すことで時間はスローモーションで感じ、その状態の中与えられた生き残るための知恵を過去の記憶の中から探すため、脳の海馬に長期記憶として整理整頓された過去の情報を全部ぶちまけて一気に探すためにおこる記憶の錯誤だと言われている。

 現状においてそれは当てはまらない。

 俺は別に死を覚悟しているわけでもなく、過去の記憶を思い出しているでもなくただ単に時間が止まっている。あるいは超スローモーション化しているだけだということだ。

 この状況について、ほとんど止まっているに等しい時間の中で俺は冷静にじっくりと考えてみた。止まっている時間の中、体をそれほど素早く動かすことはできないけれど、ゆっくりと思考をめぐらせる時間だけはある。正しくは、ゆっくりと思考巡らせることができるほどに時間が細分化されている。


 ――結論。


 それはいわゆるゾウの時間。ネズミの時間というやつなのだろう。

 

 俺は急いで飲んでしまった媚薬のレシピを間違えた。正確に計量するべきものを驚いて瓶をぶちまけてしまったにもかかわらず、そのまま調合して飲み込んだのだ。媚薬ではなく予想外の効果を現わしてしまったとしてもおかしくはない。

 つまり、その薬の効果で俺の心臓の速度は超加速度的に鼓動し、相対的に時間の流れが緩やかになってしまったのだ。

 

 さて、この状況で俺はどうすればいいのだろうか。

 止まった時間の中で俺ができることは思考することくらいだ。


 まず、わが身の危険。

 これについては先ほど述べた通り、媚薬の材料の中に飲んではいけないものがあるわけではない。が、割合の問題で体に害をもたらすことがないとは言い切れない。

 言いきれないどころか、今こうした状況こそが体に何らかの障害をもたらしているということの他ならない。

 しかし、それほど悲観するべきことだろうか。

 少なくとも時間が経てば効果は薄らいでいくだろうし、即死するのでなければいずれ回復すると考えてもいいだろう。


 いや、待て。時間が経てば回復するだなんて、たとえそうであったとしても俺の体は時間が止まっているのだ。いつか治ると楽観的になったところで、その治るまでに一体どれだけの心臓が鼓動するというのだろうか。

 たとえば現実的な時間で約三分間。今のこの状況のまま心臓が鼓動し続け、二十億回鼓動し続ければおそらく俺は寿命が尽きてしまうだろう。心臓の動きをゆっくりにしたいがそれはかなわない。心臓の筋肉は自動脳で動く。それ自身が判断して動き続けるから俺の意思を反映することはできない。

 生きていたとして身体的老化はもちろん精神的にもかなりのものになるだろう。俺は、今のこの状態のままで体感五十年という時間を過ごさなければならないのだ。

 それは果たしてどれほどに苦しいものだろうか。

 もしかすると、心臓発作というのはこんなものなのかもしれない。突然心臓が痙攣し、それに合わせて世界は時間の流れが止まる。あるいはゆっくりとなる。

 その間に痙攣し続けながら体を思うように動かすこともできず苦しみながら思考だけをめぐらせ、やがては死に至る。

 もしかすると俺はこのまま倒れて心臓の寿命が尽きて死に至り、心臓発作で急死したという扱いになるのかもしれない。

 そう考えると急に恐ろしくなった。

 まだまだ人生やり残したことはたくさんある。

 やり残したことというよりまだ何もやっていない人生だ。

 いつか俺は、いつか俺はと言い続けたままそのうちやるそのうちやると自分に言い訳し続け何もしないままに時間を無駄に過ごしてきた。

 このまま死にたくはない。

 

 しかし、止まった時間の中で俺は何もすることはできない。

 ただただ静かに、かすかに、ゆっくりと動く世界をゆっくりと見つめながら思考するだけだ。

 目の前の、俺に駆け寄って心配そうに見つめる彼女の瞳を見つめ返すだけだ。

 目をそらすことさえ叶わない。


 彼女の瞳は黒々しく潤いを帯びていて吸い込まれそうなほどに奥深い。

 いつも部室で一緒にいることは多かったけれど、彼女の瞳をこうして見つめたことなんてただの一度だってない。

 そもそも俺は女子と目を合わせたことすらなかったかもしれない。

 ともかく、その吸い込まれそうな瞳に気づいたのはこの時が初めてだ。

 むしろ、彼女は普段極度な近視でまるで牛乳瓶のふたのように分厚いレンズの眼鏡をかけていたからその瞳の美しさなんて知る由もなかったのだ。

 あるいは、彼女の瞳がこれほどまでに美しいことなんて、俺をはじめ誰も気づいていないんじゃないだろうか。

 もしそうだとすると少し誇らしい気分がないわけではない。

 だからどうという訳ではないが……


 彼女はもしかすると、この夏休みにイメージを変えてみようと眼鏡をはずしてみたのかもしれない。夏休みが明けると眼鏡をはずした彼女の瞳の美しさに多くの男子が気づき、彼女をわがものにしようと動き始めるかもしれない。

 しかし、その時に自分はもう心臓発作を起こしてこの世には存在しないかもしれないが。


 俺の目の前の彼女の瞳は、ついさっきまで心配そうな表情をしていたのだが、ゆっくり、ゆっくりとさらにその目を見開き驚いたような表情になっていくのが分かった。おそらく、現実的な時間では一秒も経っていない程度の時間のことだろう。

 

 俺はあたりを見渡した。

 見渡したといっても実際に首が動くわけでもなく、眼球が動くわけでもない。固定された世界の中で、意識を多方向にもっていくだけのことである。

 

 よく見ると彼女は宙に浮いていた。


 正確に言うならば、心配そうに俺のところに駆け寄る際に、床に落ちていた俺の飲みほした薬の水滴に足を滑らせバランスを崩してしまったのだ。

 まさに、ダイナミックに転んでしまう一秒前だ。


 しかし、それは他人ごとではない。


 彼女の下には俺がいて、このままいけば俺は彼女にボディプレスされてしまうのだ。

 そのこと自体に大きな問題があるわけではない。


 もしそのまま俺が心臓発作で死んでしまえば、きっと彼女は自分が転んでしまったせいで俺を死なせてしまったのだと勘違いしてしまうかもしれない。


 そうなれば俺は自身の愚かな行為で自分を殺すだけでなく彼女の人生さえも台無しにしてしまうかもしれないのだ。

 それだけはどうしても避けなければならない。

 ではどうすればいいのか?

 これはそれほどむつかしいことではない。

 倒れる彼女を瞬時に俺が抱きかかえ転んでしまわないようにすればいいだけのことだ。できるならば一言声をかけてこの後死んでしまう自分に彼女の責任がないことを伝えられればなおいい。

 もちろん通常の俺にそんな運動神経抜群な動きができるわけはない。しかし、これほどまでにスローモーションで世界が動くのならば、たとえ俺の身体能力であっても無駄のない動きを選択することで彼女の体一つくらい支えることは造作もないことだ。

 これは、俺の人生最後のミッションである。


 じっくりと時間をかけて倒れ行く彼女。

「あ!」

 という本来ならば華奢な彼女らしい高い声を上げているのだろうが、超スローモーションのこの世界ではくぐもった低音のうねるような轟音として聞こえてくる。

 俺は体をスライドさせ、座ったままの姿勢で彼女の真下に体を置き、両手を広げて彼女を抱きとめる姿勢をとる。

 超スローモーションなので簡単だ。

 しかし、刻、一刻と重力に従って俺に向かって落下しながら近づいてくる彼女の圧に照れくささを感じずにはいられない。

 言ってしまえば両手を広げ俺に向かって飛びつく彼女に対し俺もまた両手を広げてそれを迎える姿勢。まるで再開した恋人同士が今から抱きしめあおうとしている姿に他ならない。

 しかし、そんな照れているなどと馬鹿なことを言っている場合ではない。これは、彼女の人生にかかわるかもしれない重要なミッションだ。

 目をそらしたり、瞑ったりなんて絶対にしてはならない。

 まっすぐに彼女のことを見つめる……


 正直言って、彼女は割とかわいい。

 今までそのことに気づかなかったなんて馬鹿だとしか言いようがない。こんな人生の最後になって気づくなんてなんて愚かなことだろうか。


 ああ、そうだ。

 最後に一言、彼女に好きだと伝えよう。


 いや、やっぱりだめだ。彼女の気持ちがどうであれ、死にゆくものに告白されるなんてどう転んだって迷惑でしかありえない。俺はこの気持ちを封印したまま死んでいくよりほかの選択肢はないだろう。


 そんなことよりも、彼女が転んでしまわないように確実に受け止めることに集中しなければ。

 しかし、この超スローモーションの中でうまく位置取りできたものの、果たして本当にこれでいいのかという不安も残る。何しろ俺は普段から運動をあまりしていない。だから予想外のことが起きてうまくキャッチできないかもしれないという不安がよぎった。

 焦る気持ちもあり、少しでも早く彼女をちゃんと受け止めようと体に力を入れて上体を彼女に近づけようとする。


 ――その時、足が攣った。


 激痛が超スローモーションで起こり、いつまでも終わることがないような感覚が全身をめぐり続ける。もう、このまま精神が崩壊して死んでしまってもおかしくないくらいだ。

 そのまま力をなくした俺は彼女よりも一足先にあおむけに倒れこんでしまう。

 足をつってしまった痛みがまだ残る中、背中を床にぶつけてしまった痛みが加わり、一瞬だけ目を閉じた。

 その一瞬の瞬きによる暗闇は超スローモーションの世界で永遠の暗闇とも思える、それはまさに死の世界だった。


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