(二)-6

「こんなところでテロなんか起こるんですかね」

 近くにいたアレンが小さい声で言ってきた。

狙撃手スナイパーがいるんだぞ。しっかりしろ」

「例の中国系ロシア人ですか」

「そうだ。近くにマンションが、皇居の向こうにも背の高い建物がある。しかも冬で木には葉がなく、狙い放題になっているから気を抜くな」

 あまり広くない園内の、内堀通り側の入口付近の角に二人は立っていた。

 人が多すぎて誰が誰だが判別できなかった。目標は日本人と同じ東アジア人だ。ティムは改めて携帯スマートフォンを出して画面を見た。そして写真を表示させた。背広姿の男性が映っていた。身長は一七三センチとそう高くはなかった。しかし、同じくらいの背丈の男性はそれなりに多かった。


(続く)

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