(一)-8

 アレンはもううんざりだといいたげな顔でティムの方を見てきた。

「さぁな。エシュロンで検知したんだ。可能性はゼロじゃない」

「でもなにも見つからないぞ」

「ああ、武器や爆発物なんて一切見当たらないな」

「これで何カ所目だ?」

「ぼやくな、今日中にあと五箇所行くぞ」

 そう言うとティムは部屋を出て玄関に向かった。

「協力員に頼んだ方が早いんじゃないか」

 アレンがぼやきながらティムの後ろからついていく。

 ティムは「大統領はもう来日している」と言いながらドアを開けて共用部分の廊下へ出た。そしてドアを押さえながらまだ玄関にいるティムの方に向き直った。


(続く)

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