(一)-7

 ティムは天安門事件に関する本をパラパラとめくりながら「学生運動家か」とつぶやいた。

 アレンはクローゼットの物色を終えると玄関の方に向かいながら「いや、ただの留学生だろう」と言った。

 ティムは本を置くと、アレンの方を向いた。アレンもティムの方を向いていた。そしてお互い目が合うと、二人同時に肩をすくめた。二人ともこれといった物を見つけることができなかったのだ。

「本当に狙撃されるのか? この安全な日本で?」


(続く)

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