第45話
「私がだめだめなせいでよく怒られちゃうんですが、リュシアン様は根はとっても優しい人なんです。
私が失態を犯しても、王宮の部屋に数週間閉じ込めるだけで許してくれるんですよ。あんまり度が過ぎると、蹴られたり叩かれたりしてしまいますが、大抵のことは閉じ込めるだけでなかったことにしてくれます。
今回はいつもより厳しくて、こちらのお屋敷に送られてしまいましたが……」
ちょっと悲しくなりながらそう言うと、ベアトリス様は目を見開いた。
そして先ほどと同じように、今度はちょっと焦った様子で、口をぱくぱくさせる。しかし残念なことに私には何を言っているのかわからなかった。
けれど、なんとなく言いたいことはわかる。
「やっぱりベアトリス様も、ほかのことはともかく王都から離れたお屋敷に送るのはひどいと思いますよね……」
ベアトリス様はなぜか首を横に振っている。私は不思議に思いながらも続けた。
「しかも、リュシアン様、一緒にお茶会に出ていたご令嬢たちが私が毒を入れるのを見たと言ったのを鵜呑みにして、ろくに調査もしないままここに送ることに決めたんです。私、そのときだけは少しだけリュシアン様を恨んでしまいました」
ベアトリス様は困惑顔で、首を縦に振っている。やはり、ベアトリス様もこの件に関してだけはひどいと思うのだろう。
「でも、いいんです。リュシアン様と婚約できた私は、世界一幸せな人間ですから。一ヶ月幽閉されるくらい平気です!」
笑顔で言ったら、ベアトリス様が引いたような目でこちらを見てきた気がするけれど、多分気のせいだ。
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